見たものを表現に。ソウルで行なう俳句の魅力

第63回~山口禮子さん(ソウルガーデンホテル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

プライベートでは「ソウル俳句会」の主宰をつとめています。俳句というと難しいと感じる人も少なくありませんが、実際は誰でも楽しめる趣味です。ソウル俳句会でも大学生から80歳のおじいさんまで日韓50名ほどのメンバーが自由に批評し合い、活動しています。私は1995年に入会し、前任の帰国に伴い2006年より主宰を引き継ぎました。会では外にでかけて句作を行なう「吟行」と「勉強会」を定例で行なうほか、年に一度、日本の俳句会や著名な先生方を招いています。駐在員のメンバーは帰国後も交流のあった日本の俳句会に入るなど、ソウルで始めた俳句を生涯の趣味にしている人がほとんどです。

俳句をすると表現力がつき、また季節の変化など周囲を眺める目が豊かになります。見たものを自分なりに消化し、表現として取り出す作業を行なうので、句を詠んだ情景は写真以上に鮮明に残るのもよい点です。
韓国だからこそ詠める句があるのも魅力の一つ。例えば、日本だと里山でひっそり咲くレンギョウが、韓国では街のあちこちで春の訪れを告げているように、同じ物でも日韓で異なる受け止められ方をする場合が少なくありません。そうした違いが句にも反映され、趣を深めているように感じられます。また韓国ならではの文化や風習を「韓国版歳時記」としてまとめ、日本の雑誌に紹介したこともあります。

「俳句ツアー」の舞台は大学から地方まで

第63回~山口禮子さん(ソウルガーデンホテル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

吟行では普段の観光では見られないようなところにもでかけています。大学の教授室にお邪魔したり、ソウル競馬場ではVIPルームで馬券を買って俳句を詠んだり(笑)。魅力溢れる地方も多く、一昨年は「安東裏ツアー」と題し、安東(アンドン)の隠れた名所を巡りました。りんごの花が咲くのどかな景色を眺めたり、滝のそばにたつあずまやで両班(ヤンバン:貴族)のような贅沢を味わいながら作品を詠んだりと、とても思い出に残っています。

同じ桜を詠んでも幸せだったり、悲しさや怒りだったり…感情をあえて入れようとせずとも句には心が表れます。それを共有しつづけている会のメンバーは、余計なことを言わずとも心が繋がった家族のような存在です。私も元々は俳句に興味がなく夫の誘いで始めたのですが、ソウル俳句会の仲間に対する愛着が長年続けるに至った理由の一つかと思います。
山口さんの句作紹介
・ひとり去り風の入りたる花むしろ ・半島の月大きくて悴めり ・雪しまき大河いよいよ動かざる

確固としたサービスで安心感あるステイを

第63回~山口禮子さん(ソウルガーデンホテル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

16年間の仕事で記憶に残っているのは、宿泊中に奥様が脳出血で倒れた年配のご夫婦です。手術の書類を訳したりご主人を病院で励ましたりし、無事回復されたときは力添えができたことを大変嬉しく感じました。日常の業務でもモットーは「手間を惜しまないこと」。時間があればカウンターで常連のお客様にご挨拶したり、そこまでやるかと思われるようなことでも、常に努力するようにしています。近年のホテルは価格を抑えようとサービスや人件費を省略する傾向にあるようですが、「ベストウェスタンプレミア ソウルガーデンホテル」は、スタッフの外国語能力やベルデスクの充実など、サービス面のシステムが整っています。多少値段がはっても、その分安心感のあるステイをしていただけたらと思っています。
2003年に夫が亡くなり、無気力になった時期がありました。そのとき聞いた言葉が「ピンジャリ クジョ」。直訳すると「空席(ピンジャリ) 大きいでしょう(クジョ)」ですが、「虚無感」などの固い言葉でなく「ピンジャリ」という表現がまさにぴったりで、気持ちがなぐさめられました。日本に帰ることも考えましたが、「つらいときこそ今もっている生活をきちんと続けたほうがいい」と言われ、韓国に残りました。結果的には現在のような基盤が築け、そのときの韓国の方々の言葉には感謝しています。今後は仕事の仕上げをどうまとめ後輩に引き継ぐかということも考えていきながら、日々の業務を実行していくつもりです。

インタビューを終えて…

山口さんに感じられたのは、人や物事との距離のとりかたに絶妙な感性、あるいは気遣いがあること。それらは長年のホテルでの業務、また俳句という表現活動の中で培われてきたものなのかもしれません。ご本人は「ちょっとおせっかいな性格なのかもしれませんね」と笑いますが、細やかな努力の積み重ねで今後も多くのお客様を支え、歴史あるホテルを支えていただくことを期待しています。

ベストウェスタンプレミア ソウルガーデンホテル

1979年に「ソウルガーデンホテル」としてオープン。1997年「ホリデイインソウル」を経て、2007年より世界80カ国4200余軒のにおよぶ展開を行なうベストウェスタンインタショナルグループ「ベストウェスタンプレミア ソウルガーデンホテル」として新たに出発。韓国内のグループホテルは「ベストウェスタンプレミア ホテル国都(クット)」など8軒。
住所:ソウル市 麻浦区(マポグ) 桃花洞(トファドン) 169-1
電話:02-717-9411
ホームページ:www.seoulgarden.co.kr


提供・韓国旅行コネスト

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