「仕事、辞めようかな……」と思った経験のある人はきっと少なくないはず。厚生労働省の「平成30年版 働く女性の実情」によると、平成30年上半期の女性の転職入職者は72万8,000人もおり、社会人になってから、途中で働く環境を変える女性が多くいることが分かります。特に女性の割合、雇用形態が「派遣社員」であるケースも多く、ここでは派遣社員として働く悩みをどう解決していけばよいかを考察します。

「派遣、今すぐ辞めたい!」と思うのはどんなとき?

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職場の人間関係や職務環境というのは、仕事に対するモチベーションに影響しやすいものです。特に派遣社員の場合、自分以外に派遣社員がいないと孤独を感じたり、派遣会社から聞いていた仕事内容とは異なる仕事をむやみに振られたりといった理由でストレスが発生する傾向があります。

また、有期雇用による将来への不安や、待遇への不満なども派遣社員に多い退職検討理由かもしれません。派遣社員として働くうちにキャリアアップや待遇改善に対する意欲が芽生え、正社員を目指すケースもあるでしょう。

どんなに辞めたくても、絶対にしてはいけないこと

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どんなに「辞めたい」と思っても、派遣先に直接辞める旨を伝えることは絶対にNGです。派遣先はあくまで派遣会社と契約を結んでいるので、派遣会社を通さずに辞める旨を伝えると大きなトラブルの元になりかねません。

また、辞めたい気持ちをあからさまに態度に出したり、突然会社に来なくなってしまったりするのも極めて非常識です。辞めると決めたら、できるだけ早く派遣会社に伝えましょう。派遣先と派遣会社に迷惑をかけないためには、最低でも1ヵ月前には伝えることをおすすめします。

派遣社員を今すぐ辞めたくなったらどうすればいい?

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もしも「今すぐ辞めたい」という場合、さまざまな事情があるかと思いますが、まずは派遣会社に気持ちをきちんと正直に伝え相談することが重要です。

とはいえ、特に人間関係が理由の場合は、労働者自身に問題があると判断され、どんなに相談をしてもたんなる愚痴と解釈されてしまって契約解除を引き止められることも多くあります。どうしても辞めなければならない事情があることを正直に伝え、「もう働けない」理由とその意思を伝えることを意識しましょう。

派遣会社への伝え方と理由の例

一般的に、引っ越しや体調不良、家族の介護が必要な場合などは、 やむを得ない理由なので派遣会社も引き止めにくいです。ただし、だからといって嘘をついてはいけません。また、本来であればきちんと契約期間を満了するまでは退職できないということを忘れてはなりません。

どうしても今すぐ辞めなくてはいけない場合、伝える方法としては、メールは最後の手段と考えて、きちんと誠意をもって、直接派遣会社の担当者へ口頭で伝えることを心がけましょう。面と向かって言い出しにくい場合は、心情が少しでも伝わるように電話で相談をしてみることをおすすめします。

契約期間がまだ残っているけど大丈夫?

「辞めたい」と思っても、契約期間がまだ残っている場合は、いくら悩みを抱えていても相談しにくいものです。しかし、派遣会社はこれまで何人もの派遣社員を管理しているため、「辞めたい」という申し出にも慣れているので安心してください。心身を病み一人で思い悩んでしまうのはとても危険です。

一般的には、契約書に「退職希望の場合は〇ヵ月前に申し出ること」など、取り決めがあるはずなので、まずは契約書を確認してみましょう。

自分の経歴に傷がつく?

自己都合による短期間での退職が続くと、次の職探しに少なからず影響が出るのは事実です。長く続けられる自信がなければ、まずは短期の案件を探してみるのもよいでしょう。

また、自己都合による退職をしていると、多くの場合面接で理由を聞かれます。決して嘘はつかず、自分の言葉できちんと事情を説明できるようにしておくことが大切です。

契約途中で辞めることのリスクを知っておくこと

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基本的には、契約期間終了まで働くのが派遣社員の義務です。同時に派遣先の企業も、契約満了前には派遣社員を辞めさせることができません。

しかし、民法第628条では、やむを得ない事由がある場合のみ、各当事者は直ちに契約を解除することができるとされています。ただし、その理由があまりに身勝手である場合などは、損害賠償に応じなければならないことも定められているため、途中で契約を打ち切ることによって派遣先の企業が被った損害について賠償を請求されることもあり得ることを、きちんと理解しておくことが重要です。

契約途中で「辞めたい」と思ったら、実際に辞めるかどうかはいったんおいておき、まずは派遣会社に一言相談してみると思いのほか良い解決策が見つかるかもしれません。

派遣という働き方を上手に活用する方法

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派遣社員は、正社員より仕事内容を選択しやすいメリットがあります。正社員の場合は、そもそも希望の会社へ就職しても希望の部署に配属されない場合や、異動を強いられることもあります。

そのぶん正社員の雇用条件が良いのは確かですが、一方で派遣社員は転勤などの不安も少なく、希望の職務条件で働きやすいメリットがあります。正社員では就職が難関な大手企業の一員として経験を積めることもあるでしょう。

また、育児などで時短勤務を希望する場合や、目標の金額が貯まるまで短期間だけ働きたいなど、期間や時間を自由に調整しながら仕事を選びやすいのも派遣社員の特長です。

アルバイトよりは稼ぎが良く融通が効きやすい「派遣社員」の魅力をプラスに捉え、いろいろな企業で人脈を作りながら自分ならではのキャリアを積んでいくことも考えてみましょう。

辞めずに解決できる方法もある

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どんな職場でも、100%満足できる会社はないと心得てください。悩んだら「辞める」ではなく、まずは「相談をする」ことで 問題が解決する場合も多くあります。

「もう辞めたい」と思ったら、まずは自分の気持ちや状況を整理して、正直に派遣会社へ伝えてみましょう。派遣会社にとってもスタッフは大切な人材なので、改善策の検討を含め、きっと親身に相談にのってくれるはずです。

文・木村茉衣(ファイナンシャル・プランナー)

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