教師生活で気づいた中学生の気持ち
――中学生は一番難しい年頃だと思いますが、長年中学生の子どもたちを見つめられていかがですか?
瀬尾:「今時の中学生は!」と毎年のように言われていますが、世の中の人が思っている以上に中学生は真面目です。中学校って強制されることが多いじゃないですか。勝手にクラスを決められたり、嫌なことはいろいろある中で、与えられた場所で何とかしようとします。
自意識の塊で、それが変な態度や言葉で出てしまうこともありますが、中学生で優しい気持ちを持っていない子を見たことがないです。
元気のない同級生を心配して教えてくる生徒もいます。30人以上いるクラスの仲間のことが気になるし、良いクラスにしていこうという気持ちをみんなが持っているんだなと思います。それは、自分が中学生のときには分かりませんでしたが、教壇に立って気がついたことです。
――子どもたちが瀬尾さんの小説を読んだりはしていましたか?
瀬尾:中学校では朝読書がありましたが、その時間に読んでいたりしていて、率直に感想をくれたり、よく話の続きがどうなるかを聞かれました(笑)。
10月29日公開『そして、バトンは渡された』映画版の魅力
――映画を観た感想はいかがですか?
瀬尾:非常に引き込まれました。出演者さん演じる登場人物全員が魅力的で、壮大でドラマティックな映画だなと思いました。
――永野芽郁さん演じる優子や田中圭さん演じる森宮さんの印象はいかがでしたか?
瀬尾:すくすく育っていく優子ちゃんが永野芽郁さんの演技から感じられて、親がいろいろ変わってある意味で不幸であるにも関わらず、温かな愛情がたくさんある感じが滲み出ていました。田中圭さん演じる森宮さんも、森宮さんにしかに見えませんでした。
――合唱祭の前日に、自宅で優子が伴奏して森宮さんが歌う場面が非常に感動的でした。合唱には特別な魅力があると思うのですが、いかがですか?
瀬尾:教員時代、合唱祭がとても好きでした。合唱は放課後などの時間を使ってみんなで必死に練習します。毎年女子が「しっかりやってよ」と言って男子と喧嘩して教室を出て行ったり、ドラマチックなことが盛りだくさんです。合唱の力というのはすごいなと思います。私、自分が担任したクラスで負けたことがないんですよ!