大人にとって「子どもは大切な存在」

元中学教師の小説家・瀬尾まいこが娘に伝えたいこと「味方になってくれる人もいると…」
(画像=『女子SPA!』より引用)

――優子は、大人たちのそれぞれの優しさに包まれて生きてきたわけですが、思春期の子どもにとっての大人の存在とはどういうものでしょうか? 瀬尾:思春期の子どもには、必ずしも大人の思いが正しく伝わるわけではないと思います。それでも、だいたいの大人は子どもたちのこれから先がちょっとでも良い方向に進んでくれたらいいなと思っているものではないでしょうか。  自分の子どもでなくても、子どもは大切な存在です。だから、子どもの未来が良いものであってほしいと大人は思っているものだと信じたいです。 ――その意味で娘さんにいろいろな大人と関わってほしいという思いはありますか? 瀬尾:娘は今小学校2年生です。最近はうさぎの折り紙ばかり折っていますが、何でも楽しいと思えるこの時期にいろいろな経験をしてほしいと思います。学校の友達のおばあちゃんや、隣のおばちゃんとも仲がいいんです。ひとりでも多くの人と関わることで、ひとつでも新しいことを手に入れてほしいです。

良い人間だけじゃないことは、自然とわかること

――子どもについての悪いニュースなどがあると、悪い大人がいることも教えなければという葛藤が世の親御さんにはありますが……? 瀬尾:誘拐などの事件があるので、変な人に付いて行ってはいけないよとは言います。良い人間だけじゃないということは集団の中に入れば自然とわかることです。でも、思っている以上に良い人のほうが多いですよね。  いじめや虐待など信じられない事件が多い世の中ですが、嫌なことがあっても絶対に味方になってくれる人がいることを信じられたり、「助けて」と誰かに言えるような状態にしておきたいです。 ――本作に登場する大人たちは良い人ばかりでしたが、思い入れがあるキャラクターはいますか? 瀬尾:私に近い人はいませんが、森宮さんは小説の中に一番長く登場していて、一緒にいられた気がするので、思い入れはあります。優子が娘になって人生は2倍になったと思います。  自分だけの人生ってしょうもないじゃないですか(笑)。私自身、娘がいたり生徒がいたことで、明日が楽しみになったり、ワクワクドキドキ出来るのは若い世代のおかげだと思うので、森宮さんと一緒です。