埼玉県川口市の自治体PR。電車内のスクリーンでも動画が流れています。キャッチコピーは「お願い 住んで 川口」。実は東京のすぐ北にある川口市は、家賃相場も東京に比べればお手頃。都心へのアクセスも良く、子育てしやすい街として定住をしてもらうべく広報活動をしているのですね。自虐的な内容が口コミで広がり、ニュースでも取り上げられ、川口の名前は全国規模で知られるようになりました。

一方、「都道府県の中で最後の最後までスタバが無かった」鳥取県ですが、こちらも平井知事が「スタバはないけどスナバ(=砂丘)はある」という、これまた自虐的キャッチコピーで一躍有名になりました。こうしたユーモアある自虐。実は大事なのではと私は思うのですね。行政の上に立つリーダーがそうしたセンスを身につけていれば、そこで働く職員も大らかな気持ちになり、それが政策に反映され、住民にとっての幸せにつながると感じるからです。

さて、今回のタイトル「お願い 先に 結論」は、上記の川口市キャッチコピーにヒントを得て付けてみました。今日は「通訳者からのお願い」です。

英語と日本語というのは、文法の違いがありますよね。文章の構造も異なります。英語であれば「主語+動詞」ですが、日本語は「主語の後に色々と説明部分があって、最後に動詞」となります。通訳者にとっては、この構造の差が非常に大変なのです。

同時通訳現場では、とにかく聞こえてきた単語をどんどん目的言語にせねばなりません。日本語として自然な文章にするのであれば、通常の日本語のように「主語+説明部分+動詞」の方が良いでしょう。でもそこまで英語の動詞を頭の中に記憶させておくことは難しいのですよね。よって、たとえばPresident Biden said …という文章であれば、「バイデン大統領が述べたところによると」という風にさっさと動詞を言った方がラクになります。

一方、苦しいのは日本語から英語への同時通訳です。主語を聞いてから動詞に至るまでのキョリがとにかく長い!同時通訳しながら、「・・・で、結論はどっち?」と気になります。よって「シロかクロか、早くハッキリさせてぇ~~」と内心思いながら同時通訳する羽目になるのです。

通訳現場でこのように思うことが多いせいか、私の場合、日常生活でもこの「はよ結論を!」というメンタリティが非常に強くなっています。

たとえば、ニュースで以下のような文章を聞いたとき:

「・・・ここで鉄道の情報です。JR○○線は、A駅で発生した△△によりB駅とC駅との間で運転を見合わせていましたが、□時□分に運転を再開しました。繰り返します。JR○○線は(以下省略)。」

私としては、「JR○○線は、運転を再開しました」がとにかく早くに必要とされる情報だと思いますので、ここを冒頭で伝えてほしいのです。運転を見合わせていた理由、つまり細かい情報は、繰り返しの際に知ることができれば十分だと思うのです。ゆえに「お願い 先に 結論」となるわけです。

いえ、もちろん、日本語には日本語の語順の良さなどもあることは承知しています。でも、もし「通訳者を使う会議で自分が発言者となる」という場合は、ぜひ「先に結論」でお願いしたいと思います。あ、交通情報も結論先で。

(2021年10月26日)

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