体を温める食べ物の由来は「薬膳」
体の冷えは、身体の不調を引き起こす原因にも繋がりかねません。そこで体を温める食べ物を食べることで冷え対策ができます。
中国の医学では、「全ての食べ物には薬効がある」という「薬膳」があります。これは食材の様々な性質や効能を食事として取り入れることで、身体や心のバランスを整えて病気を防ぐというもので、食べ物には様々な効果があることがわかります。
「生姜を食べると体が温まる」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。生姜には、血液の流れを良くして新陳代謝を促進することで体を温める効果があります。このように冷えを改善するためには、体を温めてくれる効果がある食生活を意識することで身体が温まり体調も整えることができるのです。
体を温める食べ物の見分け方や特徴
体を温める食べ物を食べると冷えを改善できることがわかりました。では体を温める食べ物はどのような特徴があるのでしょうか?ここでは、体を温める食べ物の見分け方や特徴について説明していきます。
育った環境
寒い地域で育った野菜や果物には、熱を吸収して蓄えるため、体を温める効果があります。また、冬に採れる野菜も寒い地域で育った野菜と同様に体を温めます。これは野菜だけではなく魚も同様で、北の海で良く獲れる鮭やマグロ、カツオなども体を温める食べ物です。
この反対で、暖かい地域で育ったり夏に採れる野菜や果物には、体を冷やす食べ物が育ちます。
土の中で育つか土の上で育つか
土の中で育ったのか、土の上で育ったのかによっても食べ物の持つ性質に違いがあります。土の中で育つものには、体を温める効果があります。これは、熱い太陽から逃れるために地面の下へと深く伸びようとする性質から、土の中で育った根菜や芋類は体を温めると言われています。
逆に地上で育つものは体を冷やす効果があるのです。
色や形、成分
色や形でも体を温める効果を持つか見分けることができます。オレンジや黄色、赤などの暖色系や黒い色の野菜や果物は体を温めます。逆に白や緑、紫の野菜や果物は体を冷やすと言われています。
しかし、体を温めるとされている暖色系の野菜や果物でも、トマトのように体を冷やす効果のあるものもあるため、色だけで見分けるのは避けましょう。
また、小さいものや形が丸いものは体を温め、大きいものや細長いものは体を冷やす野菜が果物が多い特徴があります。
色や形以外に、水分の少ないものやナトリウムを含む野菜や果物は体を温めるなど、成分によっても見分けることができます。例えば、ジャガイモとナスで比べてみましょう。ジャガイモは丸くて茶色で、水分量が少ないため体を温める野菜の種類に分けられますが、ナスは紫色で細長い形をしていて水分量が多いので体を冷やす野菜の種類になります。
発酵している食べ物
味噌や納豆、醤油やヨーグルトなどの発酵している食べ物は、体の代謝を良くする酵素が入っているため体を温める効果があります。
味噌や納豆、醤油に使われる豆自体には体を温める効果はありませんが、発酵することによって体を温める食べ物へと変化しているのです。
キムチに使われる白菜は体を冷やす野菜ですが、唐辛子で漬けることによって体を温める食べ物へと変わります。このように食材を加工や調理することによって、性質を変化させることができますので、体を冷やす食べ物だからと避けずに加工や調理を行いましょう。
体を温める成分が含まれている食べ物
食べ物には様々な成分が含まれています。食べ物に含まれる栄養成分によってより体を温める効果があらわれます。
体を温める効果のある成分には、ビタミンEやビタミンB1、タンパク質や鉄分があげられます。ビタミンEやビタミンB1は、血管を広げて血行を良くする働きがあるため体を温かくする効果があります。
ビタミンEが多い食べ物には、うなぎやナッツ類、あまに油やなたね油があります。ビタミンB1が多い食べ物には、豚肉やそば、大豆などがあります。
タンパク質は血液や筋肉を作る成分で、タンパク質が不足してしまうと酸素が運びにくくなりエネルギーの燃焼がうまくいかないために体が温まりません。タンパク質が豊富に含まれる食べ物には、肉類や魚介類、卵などがあります。
鉄分は血液のもとになる成分で、鉄分が不足してしまうと貧血の原因にもなります。鉄分が多い食べ物には、ひじきや大豆、レバーなどがあります。
これらの成分を含む食べ物を積極的に食べることで体をより温めることができます。
体を温める食べ物と冷やす食べ物
具体的にどんな食べ物が体を温める効果を持つのでしょうか?ここでは体を温める食べ物と冷やす食べ物をいくつか紹介していきます。ぜひ献立を考える際や食材選びの参考にして下さいね。
体を温める食べ物
体を温める食べ物の特徴は、冬が旬な食べ物であることや、寒冷地や地中で育つこと、また色は暖色系で水分が少ないことなどがあげられます。
・ニンジンや蓮根などの根菜類
ニンジンには血行を促進させる「ビタミンA」やミネラル成分は豊富に含まれているため代謝のアップが期待できます。
蓮根には免疫アップに効果のある「レクチン」という成分が含まれています。
・かぼちゃ
かぼちゃは夏野菜には珍しく血行を良くして体を温める効果があります。かぼちゃには血流を良くする「ビタミンE」や「ビタミンB1,B2」をはじめとする、多くの栄養成分が含まれているため栄養価が高い野菜です。
・玉ねぎ
玉ねぎなどのねぎ類には、「硫化アリル」が含まれているため血行を良くして冷え症の改善に効果があります。また、玉ねぎの皮に含まれる「ケルセチン」という色素の成分にも強力な抗酸化力があるため代謝を改善する効果があります。
・かぶ
かぶの根には免疫力強化に繋がる「ビタミンC」や「イソチオシアネート」という成分が含まれています。かぶの葉は栄養が特に豊富で、鉄分や葉酸を多く含むため貧血予防や血行の改善が期待できます。
・玄米
玄米には「ビタミンB1」が多く含まれているため、血行を良くして体を温める効果があります。またむくみに効果が期待できる「カリウム」も含まれています。
・鮭
北の海で育つ鮭は、栄養が豊富で健康や美容にも効果が期待できる成分が含まれていることから「スーパーフード」と呼ばれていたこともあるそうです。血行を促進する効果のある成分をはじめ多くの栄養成分は老化防止や疲労回復にも繋がります。
・羊肉
羊肉には体を温めて新陳代謝を活発にする性質があります。北海道ではよくジンギスカンを食べますが、寒さの厳しいモンゴルでも羊肉を食べる習慣があります。このように寒い地域で羊肉を食べることが多いのも、羊肉の効果が関係しているのかもしれません。
体を冷やす食べ物
体を冷やす食べ物の特徴は、夏が旬な食べ物であることや、南国や地上で育つこと、また色は寒色系で水分が多いことなどがあげられます。
・きゅうり
暑い夏が旬なきゅうりは、体を冷やす働きがあるため、熱くほてった身体を冷ますのに効果的です。体を冷やさないためにはドレッシングや調味料を工夫して体が冷えるのを防ぐと良いでしょう。
・レタス
食物繊維が豊富なレタスはサラダを食べる時にはマストな野菜です。しかし、水分量が多いため体を冷やす効果があります。レタスを食べる際には体を温める野菜と一緒に調理したり、温かい料理に使用しましょう。
・なす
なすには利尿作用のある「カリウム」が多く含まれているため、尿の排出と一緒に体の熱も排出して体を冷やしてしまいます。生姜などと一緒に炒めたりすることで、体を冷えを防ぐことができます。
・キャベツ
キャベツは生でも加熱しても美味しく食べれますが、生のキャベツには体を冷やす性質があるため冷えが気になる人は加熱調理をおすすめします。野菜スープなどに使うと体を温める他に、キャベツの持つ胃の粘膜の再生効果で胃腸にも優しく食べれます。
・メロン
メロンはスイカと同じく水分量が多いため、体を冷やす効果があります。夏の暑い季節に食べると熱中症の防止に繋がりますが、食べ過ぎると体を冷やしすぎて腹痛に繋がることもありますので注意が必要です。
・海藻
ミネラルが豊富な海藻ですが、体を冷やす効果のある「カリウム」も豊富に含まれています。低カロリーで美容効果も期待できる食材ですが、冷えが気になる人は食べ過ぎに注意しましょう。
体の冷えが及ぼす影響は?
冷え性は、男性よりも女性に多いと言われています。これは、女性の方が皮下脂肪が多いことが関係しています。皮下脂肪は外からの熱を通しにくい性質があるため、一度冷えてしまうと温まりにくい性質を持っています。また、女性はホルモンの分泌の乱れから自律神経のバランスが崩れやすく、冷え性が悪化する人も多くいます。
冷え性は、血液の循環が悪いために起こる症状ですが、深刻な病気に繋がることもあります。体温の低下は体の全細胞臓器の代謝を悪くし、心臓や血管の働きを低下させて血液の流れを悪化させてしまいます。血液の流れが悪いと、肩こりや頭痛の他にも動悸や息切れなどの自覚症状が現れることも。
さらにそのまま放置していると、心筋梗塞や脳梗塞といった病気に繋がることもありますので、体を温めることは健康維持のためにもとても大切なことなのです。
体を温めるとこんなメリットがある!
日々のストレスや寝不足、バランスの取れていない食生活などから、毎日忙しく過ごしている人に多いのが平熱が低い人です。体温が低いと、頭痛や便秘、肩こりなどの不調や太りやすく痩せにくい体質になってしまうなど健康や美容に悪影響を及ぼすことも。体を温めることは様々なメリットがあります。ここでは体を温めることのメリットについて、説明していきます。
体を温めるメリット①免疫力アップ
体温と免疫細胞にはとても深い関係性があります。体温が1度上がるだけで、免疫力は5〜6倍にもアップすると言われています。免疫力が上がると風邪をひきにくくなるなど外部からの菌やウィルスへの抵抗力が強まります。逆に体温が1度下がると、白血球の働きが30%ダウンしてしまうため免疫力が低下して風邪をひきやすくなるなどの健康状態に支障を及ぼすことにもなりかねません。
また、がん細胞は体温が低いと活発になり増殖するため、体温を上げることによって免疫細胞が活発になりがん細胞から体を守ることができます。