【見どころ④】豪壮な本殿の表門、国宝・唐門
陽明門の先にあり、拝殿の前に立つ国宝の「唐門」。極彩色が多い東照宮の建造物の中で、ひときわ存在感を放つ白い門は、日本画にも用いる白い顔料の胡粉(ごふん)で塗られています。唐破風の屋根が特徴で、柱や扉は東南アジアから輸入した紫檀や黒檀などを使用した寄木細工(よせぎざいく)。いずれも精巧な彫刻が見事です。
門の両脇には唐木の寄木細工で昇り龍と降り龍が描かれています。
門の上には古代中国の聖賢の故事を題材に、1本の木からくり彫りした精巧な彫刻が飾られています。
3基の神輿が収められた神輿舎
唐門の手前左手にあり、春と秋の大祭で使われる神輿が収められている神輿舎(しんよしゃ)。中には入れませんが、内部の鏡天井の金箔地には天女舞楽の図が描かれています。
3基の神輿が納められていて、中央(写真左の神輿)が徳川家康、右が豊臣秀吉、左(左側の壁の奥にもう1基あります)が源頼朝の神輿です。
拝殿の中へ
御神体が祭られる最も神聖で重要な場所。本殿、石の間、拝殿からなり、なかでも99畳ある拝殿の天井に描かれた100頭の龍の絵は圧巻です。拝殿の右には「将軍着座の間」、左には「法親王着座の間」があり、迫力のある鳳凰や鷹などの彫刻が施されています。そのほか、拝殿前に立つ柱に施された龍の彫刻や、本殿の獏の像など、見どころが満載です。
【見どころ⑤】国宝・眠り猫にご対面
本殿の東廻廊に彫られた、名工・左甚五郎作と伝わる有名な彫刻「眠り猫」。牡丹の花咲く下で子猫が日の光を浴びてうたた寝をしているところから、「日光」にちなんで作られたともいわれています。正面から見ると眠っているように見えますが、やや左側から角度を変えて見ると、獲物を狙っているようにも見えるから不思議です。
眠り猫の裏側にすずめの彫刻を発見。子猫が安眠する様子や、さらにその猫を天敵とするすずめが戯れる様子から、強い者が弱い者を虐げることのない、平和な世の中を表していると考えられています。
眠り猫の先は奥宮へと続く
眠り猫のある廻廊の下をくぐると、家康の御墓所のある奥宮に導く奥社参道へと続きます。参道にのびる207段の石段は各段で一枚石が用いられており、この階段自体も東照宮の名所のひとつです。眠り猫から奥宮まで上るには10分程度かかりますが、体力に余裕があればぜひ参拝を。
石段を上った先に現れるのが奥宮。奥宮には拝殿をはじめ、石狛犬や奥社銅神庫、奥社鳥居など、いくつもの重要文化財が集まっています。
家康の遺体が納められているといわれる、重要文化財の「奥社宝塔」。8角5段の石の上に3段の青銅で鋳造され、その上に宝塔を乗せています。
御墓所の奥には樹齢約600年の「叶杉(かのうすぎ)」がそびえ立ちます。この杉の祠に向かって願い事をとなえると、願いが叶うといわれています。