宝塚歌劇団時代から、“挨拶”をずっと大切にしています
渡辺:宝塚歌劇団出身とのことですが、現在の仕事に生かされていることはありますか?
北川:挨拶を大切にしていることですね! 初めてお会いした方にとって、挨拶はとても重要なポイントだと思います。宝塚歌劇団時代に「最初の印象はずっと残る」と教わったので、笑顔で挨拶することを絶対に欠かさないようにしています。
渡辺:私も第一印象によって未来が変わると思います。明るく元気に挨拶をしてくださる方だと「一緒に話すと楽しそう」「心に余裕がありそう」と、そのあとも声を掛けやすいじゃないですか。もしも機嫌が悪そうだったり、疲れていそうだったら、とても話しかけられるような雰囲気じゃないですもの。「そっとしておいたほうがいいのかな?」ってなりますね(笑)
北川:そうですよね。現場での第一印象は、そのあとの仕事に大きく影響してくると思います。挨拶に関しては、宝塚歌劇団でかなり鍛えられました(笑) もしかしたら、年下の方でも先輩かもしれませんし、常に相手を敬う言葉遣いをするように徹底しています。宝塚歌劇団は上下関係に厳しかったので、たくさん学ばせていただきました。培った経験を今の仕事にも生かしています。
渡辺:私は、学生時代にテニス部に所属していたのですが、先輩が角を曲がるか曲がらないかのギリギリのところでも必ず挨拶をするようにしていましたね。先輩にちゃんと伝わるようにオーバーリアクション気味に(笑) 当時を振り返ると「先輩は神様」「先輩が言うことは絶対」が当たり前だったので、厳しい環境だったと思います。しかし、社会人になる前に上下関係をきちんと学ぶことができたので、今となっては貴重な経験だったなと。
北川:たしかに! 私たちも入団した時点で、「すぐ先輩全員の顔と名前を憶えて必ず挨拶しましょう」と教育されていました。先輩が遠いところにいらっしゃる場合は、渡辺さんと同じように大きな声で挨拶するようにしていましたね。たとえ先輩が後ろを向いていらっしゃっても気付いて振り返っていただけるくらい(笑) ちゃんと、その人に向かって挨拶しているということが伝わるように。“目を見る”、“笑顔”、“元気よく”ということを心掛けていました。
渡辺:いつもニコニコ笑顔で挨拶をしてくださる方って、それだけでもう好感度が上がりますよね! 自分の記憶のなかでも、いわゆる“パーフェクトな挨拶”をしてくださる方は印象深いです。私自身、そういうすてきな方々に出会って感化され「どうせするなら、一番いい挨拶をしよう」と極めるようになりました(笑)
北川:あとは、自分発信で挨拶ができるかも大事です!
渡辺:たしかに! 挨拶からコミュニケーションがはじまるから、自分からできないと絶対損ですよね。挨拶をされて嫌な気分になる人はまずいないから、やるべき! 挨拶は、人見知りの人でも簡単にイメージアップができるポイントだと思います。
仕事を増やすコツと努力していること
渡辺:ちっちさんは、現在フリーで活動されているとのことですが、営業をされていますか? 仕事のオファーを受けるコツなどもあれば、教えてください。
北川:仕事の幅を広げるために、自分から行動を起こしています。ヘアメイクにとどまらず、いろんな職種の方が集まる交流会に参加するようにしていて、そこから展開することも多いです。元々は師匠のもとで一緒に仕事をしていたのですが、2018年の春からフリーランスになったので、自分から動かなきゃと!
渡辺:やはり自分から名刺を配っていかないといけませんよね! ヘアメイクは人気の職業ですが、いわゆる“カリスマ”と呼ばれる方って一部じゃないですか。自分のなかで努力されていることや仕事をするうえでのルールはありますか?
北川:先程お話しさせていただいた挨拶もそうですが、現場で一緒になった方々に印象を残すことです。最初の一回目で覚えていただけるように存在感を出せたらと思っています。みんな一定の技術は持っているので、それに+αで自分を選んでいただける何かがなければいけない。共有する時間をいかに楽しいものにできるか、コミュニケーションの部分を重視しています。共通点を探して、一緒に盛り上がったり!
渡辺:たしかに技術はもちろんですが、コミュニケーションが上手に取れてこそ、好みの仕上がりにしていただけるわけですものね。どこの業界も、人柄を気に入ってリピーターになる人が多いのではないでしょうか。
北川:そうですね! その通りだと思います。
渡辺:「また、連絡しよう」と頭に浮かんでくるのは、インパクトがあってこそ! まずは記憶に残る人にならなくてはいけませんね。私もフリーで仕事をしているので、毎日たくさんの人と出会うなかで「もう一度、あなたにお願いしたい」と選んでいただけるような存在になりたいです。
今後、ヘアメイクという仕事を通して宝塚歌劇団に恩返しをしていきたい!
渡辺:ちっちさんの今後の目標を教えてください。
北川:今後は、宝塚関係者のヘアメイクを展開していきたいです。ありがたいことに宝塚関係者からのオファーが多くて! 現役からも卒業生からも仕事についての問い合わせをいただきます。
渡辺:それは、とてもうれしいですね! 既に卒業しているわけだから、コンスタントに依頼が来るのは、信頼があってこそだと思います。すてきな繋がりですね。苦楽を共にした仲間だからこそ、情があるのではないでしょうか。
北川:ヘアメイクの仕事をはじめてから、あらためて宝塚歌劇団の繋がりに感動しました。同じ舞台に立っていない方や現役時代にかぶっていない方からも同期を通して連絡がくるんです!
渡辺:宝塚は伝統的な劇団ですし、どんどん新しいメンバーが加入してくるから、今後もオファーが増えそうですね!
北川:ヘアメイクの仕事のなかでも“宝塚枠”を増やしていけたらと思います。卒業してからも、またこうして宝塚関係者と一緒に仕事をすることができてうれしいです。宝塚関係者やファンの方、私を支えてくださった方々にこれから恩返しをしていきたいです。
インタビューを終えて…
ヘアメイクのちっちさんこと、北川めぐみさんと対談させていただきました。
宝塚歌劇団出身という異色の経歴は、とにかく人を惹きつけるものがありますし、自分自身が舞台に立っていた女優だったという経験から美意識の高さやモデルとなる方が求めていることまで理解ができるのかもしれません。めぐみさんはこれまでの経験と強みを生かして、ほかのヘアメイクにはできない仕事をたくさんされるのだと思うと、ますます目が離せません。
そして、一番大切にしていることは挨拶なのだと教えていただきました。
コミュニケーションの基本中の基本ではありますが、一番ベストな挨拶を意識して、毎日実践している人は実はとても少ないと思います。私はいわゆる“ゆとり世代”といわれる世代ですが、社会人になった頃に「ゆとり世代の子たちは、挨拶がきちんとできない」といったフィルターがかかっていたので、挨拶をするだけで「意外としっかりしているんだね!」と評価されることが多かったです。
きちんとした挨拶は、ほかの人と差別化できる大きなポイントになるのかもしれません。
「挨拶からすべてが始まる。大きな声で挨拶すると、相手の『心の扉』が開く。だから、世界が広がり、幸せに満ち溢れる。」
挨拶を押さえるだけで、仕事が円滑に進むならたやすいものです。
今、もし挨拶にこだわっていない方は、ぜひ意識してみてください。ちっちさんのように学んだ教えをルーツとし忘れずにいると、全く別の仕事をはじめてもそれが強みとなるのです。私もちっちさんの初心を忘れない姿勢を見習いたいと思いました!
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