題して「ドールハウスの6つの楽しみ方」。
さっそく、新美さんの提案にならって美術館を回ってみることにします。
実際に来館!箱根ドールハウス美術館の6つの楽しみ方
美術館に入る前に、まずはエントランスで手の消毒を行います。マスクの着用をしっかりと確認して、新型コロナウイルスの感染予防に協力しましょう。
受付にて入場料を支払います。誰もいないときは備え付けのベルで係りの方を呼びましょう。
来館には事前予約が必要になります。希望者には、館長または学芸員による美術品の解説や、裏話などを聞けるギャラリートーク(30分程度)に参加できる嬉しいサービスがあるので、ぜひ申し込んでみましょう。
※月曜・金曜・土日祝日は10:00〜17:30(最終入館17:00)11月〜3月は10:00~17:00(最終入館16:30)で営業、火曜〜木曜日は事前予約制
細長い廊下には作品がずらりと並び、途中に2号館・3号館の広間があります。広間にはひときわ大きな作品が展示されています。
入り口からの常設展示では、イギリスの時代を追ってドールハウスが展示されています。
6つの楽しみ方は、見る・旅する・学ぶ・遊ぶ・集める・作るです。
それでは順番に見ていきましょう!
1.‟見る”楽しみ
実物そっくりに作られた作品を細部までじっくり見て、その世界観に浸りましょう。高い技術力と装飾の美しさに思わず感嘆のため息がもれます。
こちらの作品は「モッツ雑貨店」と呼ばれており、世界の2大コレクションの片方「モッツ・コレクション」の中でも代表的な作品です。
1930年代の雑貨店を再現した作品で、モッツ家の人々から「感動をみんなで分かち合ってほしい」として、直接譲り受けたもの。
幼いころからミニチュア玩具の収集が好きだったモッツ夫妻とその子どもたちが、数十年かけて集めた小物や製作物が配置されているこの作品。
見れば見るほど、一家のドールハウス作りにかける愛着と思い出が伝わってくるようです。
2.‟旅する”楽しみ
当時の風景や暮らしを想像しつつ鑑賞することで、実際に現地を旅したかのような気分に浸れます。
こちらの作品は、イギリスのナショナル・トラスト(国民環境基金)で管理されている文豪トーマス・ハーディの生家を、特別に許可を得て採寸し、1/12サイズのドールハウスで再現した作品です。
のどかな田園が広がる南イングランド・ドーセット州にあるこの家は、小説「テス」の舞台としても有名です。
ドールハウスを覗けば、小説を通じて「本当の豊かさとは何か」を伝えてきた氏の生まれ育った暮らしぶりを想像できるかもしれません。
3.‟学ぶ”楽しみ
きわめて精巧に作られたドールハウスの小物・建築様式を見れば、当時の流行や生活の様子、ひいては思考までもが浮き彫りにされます。
たとえばこちらの作品は、1900年代初頭のアメリカの様子を学ぶのにうってつけのドールハウスです。
「大草原のローラの丸太小屋」と題されたこの作品は、小説「インガルズ一家の物語」に登場する主人公ローラが住んでいた生家。
1974年から8年間にわたって放映されたアメリカのテレビドラマ『大草原の小さな家』のモデルとしても有名です。
なんとこのドールハウスは新美さんが発注したもので、ローラの生家があるアメリカ合衆国ウィスコンシン州まで実際に赴き、図案を作成しました。
室内外の調度品・家具・衣類・生活雑貨はそれぞれ専門の作家に依頼し、製作してもらうという徹底ぶり!だからこそ歴史資料として貴重な価値が生まれ、深い学びにつながるのでしょう。
4.‟遊ぶ”楽しみ
作品をじっくり観察すれば、ドールハウス作家たちの遊び心を垣間見られます。
こちらはモッツコレクションのひとつ「モトロポリタン美術館」。モッツ氏の名前とニューヨークのメトロポリタン美術館の名前を文字ったユニークな作品です。
中を覗いてみると、正面奥に4本立った大理石の右端に、フランスのルーブル美術館に展示されている『モナリザ』の姿が。
大理石の左端にはオランダの画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品『ひまわり』も見られます。
これらの作品は写真の切り抜きに上から釉薬(うわぐすり)を塗って、油絵らしく仕上げているそう。モッツ夫妻の愛娘たちが制作したもので、有名な絵画の中にこっそり彼女たちのオリジナル作品が隠れているので、ぜひ探してみてください。
作家の遊び心に触れながら作品を鑑賞すると、新しい発見があるかもしれません。
5.‟集める”楽しみ
出入口付近にあるミュージアムショップでは、人気作家の作品から書籍、絵本、自分で作れるドールハウスキット、箱根のお土産まで豊富な商品が揃っています。
お気に入りの商品を探して、訪れるたびに少しずつ集めるのも楽しそうです。
ドイツの陶器ミニチュアメーカー「Reutter Porzellan(ロイターポーセリン)」。いつまでも眺めていたくなる美しさです。
中でも館長のイチ押しが、箱根唯一の木地師(ろくろで木工品を加工・製造する職人)として、90歳近くになっても現役で活躍する田中一幸さんの作品です。
ひょうたんを回して開けると、中からはなんと米粒大のコマが出現!ミニチュアすぎてびっくりな一品です。
ほかにも個性的な作品を多数販売しているので、自分はもちろん、家族や友人にぴったりなお土産をぜひ探してみてください。
6.‟作る”楽しみ
館内のカフェでは、随時ワークショップを開催しています。
現在は新型コロナウイルス感染予防のために開催を見合わせていますが、普段はドールハウス作家さんに教わりながら、ミニチュア作品を製作する体験ができます。
ワークショップ情報は公式HPにて更新されますので、そちらをチェックしてみてください。
最後に、館内出口付近に設置されたVR体験コーナーを紹介。椅子に座った状態で専用ゴーグルを覗くと、館内に展示されているドールハウスのVR映像が流れます。
音声解説を聞きながら、興味の赴くままに上下左右を見回してみましょう。保護ガラス越しでしか見られなかった作品たちも、VRならグッと近づいて鑑賞できます。
語りだすときりがないドールハウスの魅力を、ぜひその目で確かめてみてください。