新型コロナウイルスの感染拡大以降、不調があっても「高熱や激痛でもない限り病院に行くことを躊躇してしまう」という人は多いのでは?
そんなときこそぜひ「鍼」を試してみてほしいと、無料の鍼治療体験アプリ(シール鍼の貼る場所を教えてくれるアプリ)を開発するまでにいたった医師の加藤容崇先生に話を聞きました。
医師が医療費削減を目指して開発
西洋医学の医師が鍼治療を勧めるのは意外な気がしますが、開発者の一人である医師の加藤容崇先生いわく「僕自身、研究を始める前は鍼治療を胡散臭いと思っていた」とのこと。それがなぜアプリ開発に至ったのか、その背景を聞きました。
「僕はもともと、増大し続ける日本の医療費に懸念を抱いていました。2019年度の医療費は過去最高の43.6兆円に達し、国家の財政を圧迫しています。そのうちの9兆円以上を薬剤費が占めるほど非常に大きなマーケット。本当に必要な薬ももちろん多いですが、一方、薬以外の方法で薬を使わなくても済むものもあると思います。ポリファーマシーと言って薬の飲み過ぎも問題になっていますし、崩壊寸前の医療財政への対策としても薬に頼らない方法は理に適っています。この現状を変え、次の世代への負担を軽減するには、少しでも多くの人が病院や薬に頼らずにセルフケアできる方向に持っていく方が良いと思ったんです」
そこで着目したのが、セルフケアが可能な鍼治療だったというわけです。
エビデンスで「鍼治療って怪しい」を払拭
そもそも鍼治療に怪しいイメージを持つ人が多いのは、流派が多く治療が標準化されておらず、そのせいでエビデンスが取れていないことにあると加藤先生。
「鍼治療自体は、技術の確かな鍼灸師が治療を行えば高い効果が得られものだと思っていたので、医学修士の学位を持っている鍼灸師である谷地一博先生にお願いし、僕が勤務する病院で1500人以上を対象に研究を行ったんです。すると、8割を越える方が効果を感じたという回答で、少なくとも谷地先生の腕前は本物だとわかりました」
谷地先生のような確かな技術を持つ鍼灸師さんの知見を活かせば、効果的なセルフケアが実現できると加藤先生は確信。こうして、医療を変えるプロジェクトとして、まずは体験アプリ「ココハル」をリリースすることにしたのだとか。
「受診率=アプリ利用率を上げるために、アプリは完全無料で広告も一切いれていません。多くの人に利用してもらわなければ、医療を変えるきっかけになりませんからね。最初は小さくても、脱病院・脱薬のギアになればいいなと思っています」
コロナ過で増加中の「マスクの不調」からスタート
現在は第一弾として、コロナ過で増えている「マスク着用による不調」の対策が公開されています。
「マスクを長時間かけ続けることにより、頭痛やめまい、息苦しさ、耳鳴りなどさまざまな不調を訴える人が増えています。『緊急性はないから』と我慢しがちなこれらの悩みを、まずは解決できれば。マスクかぶれなどの肌荒れに効くツボも公開されていますよ」
そのほかPMS(月経前症候群)や便秘など、多くの女性が悩まされている症状にも効果が出やすいという鍼治療。今後はそうした幅広い不調に対応できるよう、順次内容を充実させていく予定だそうです。
試しに女子SPA!編集部員が頭痛と肌荒れで診断してみました。まずは事前にドラッグストアやオンラインショップで売られている「シール鍼」を用意(なんでも大丈夫だそうです)。次に、アプリの画面上で自分の悩みを選択すると、シール鍼を貼る場所と貼り方の説明画面が表示されるので、その指示に従ってシール鍼を貼っていきます。