「ネパール料理」と聞いてカレーを思い浮かべる人は多い。しかし、魅力は酒にあり。今ハマる人が続出中という、スパイス料理とのペアリングを楽しめる店を紹介する(取材は、緊急事態宣言が出る前です)。
絶品スパイス料理をネパール酒で嗜む
日本でスパイス料理といえば、やはり「カレー」がポピュラー。ナンや薄焼きパン・チャパティに合わせるのが定石だが、スパイシーな味わいに刺激され、思わずビールにも手が伸びてしまう人も少なくないだろう。
しかし、さらに杯を進める皿として、スパイスマニアのひそかな支持を集めるのがネパール料理だ。
国民の多数派がヒンドゥー教(約8割)という点はインドと同様だが、次に多いのが仏教徒ゆえに比較的飲酒や肉食に寛容な国とされている。首都・カトマンズには日本の居酒屋に似た業態の店が並び、海外からの旅行者のみならず、ローカルの客でも賑わっていると聞く。
小さな肉まんみたいなネパールの餃子「モモ」
そんなネパールのアテで一杯やろうと、まずは新大久保の人気店「ネパール居酒屋 MOMO」へ。コリアンタウンのイメージが強いこのエリアにも、ここ数年ネパール料理の看板がちらほらと。今や在留ネパール人の数は国別で第6位と多いため、「MOMO」の主たる客層も本国の人たちとのことだ。
ネパールの言葉が飛び交う店内で、看板メニューのモモとビールを頼む。出てきたのは、小さな肉まんのごとき外見の料理。噛み締めると意外と皮が薄く、鶏肉の旨味と華やかなスパイスの香味に心を鷲掴みにされてしまった。
ドライな飲み口のネパールビールと合わせれば、その爽快さは天井知らずだ。モモはネパールの餃子なので、この組み合わせ、いわゆる“餃ビー”。日本人に定番のペアリングが、えもいわれぬ口福感をもたらす。そのままでも十分イケるが、チリ風味のトマトソースをつけると、なお進むこと間違いなし。
ほかにも鶏肉や羊肉の料理を揃えるが、中でも店長のプラバトさんのおすすめがタワマトンだ。
「干した羊を炭火焼きにします。マトンの旨味が凝縮されているため、ちびちび齧りながら、ネパール焼酎をあおる人も多いんです」
スパイスに加えてショウガやニンニクも効いて、噛むほどに滋味深い。食べ終える頃には、かなりの杯数の焼酎を空けてしまった。こちらではネパールの「バフン族」の料理を提供するそうで、比較的辛さは控えめ。ネパール料理初心者にも食べやすい味付けだろう。
「ネパール居酒屋 MOMO」のモモ&ビール(ネパールアイス) モモ(600円)はネパールの餃子。餡にはクミンやコリアンダーの効いたチキンキーマ、キャベツ、玉ネギが入る。水餃子のほかに、スープモモも。キレのある味わいのビール、ネパールアイス(600円)