㉑リビア
リビアは、現在の北アフリカにあるリビアと同じ場所にありました。リビア人は髪型に特徴があります。前髪がピョンと前に跳ねているうえ、頭部はストレートで毛先は巻き髪の、イマドキでいう「ゆるふわ」な感じです。羽織っている足元まである長いローブには、端のすべてに鋭角な襞(ひだ)がついており高級感を漂わせています。また、手には肘まであるグローブを着けているようです。
そして、スパイラルした角が軽くウェーブしているクーズー(カモシカ)を献上品としたようです。この見事な角を持つ動物は、現代でもアフリカ大陸の北東部にしか生息しておらず、ユーラシア大陸では目にすることがなかったはずですので、これを見たペルシア帝国の歴代王は喜んだのではないでしょうか。また、馬二頭と車輪のついた荷馬車も献上されているようです。
㉒アレクサンドリア(エジプト)
エジプトは各国のレリーフの中でも損傷が激しく、上部半分が剥がれ落ちてしまっており、残念ながらお顔や手に持った献上物を確認することができません。場所はスキタイの上側です。
下半分だけ見ると、足のくるぶしまでくるロングの召し物を着けられていたようです。最後尾にいる動物の足は、前後足の長さから筆者はライオンではないかと思いますが、皆様はいかがでしょうか。一大文明を築いた大国ですので、きっと素晴らしい献上品を納めたのではないかと思われますが、エジプト人の表情や服装、朝貢品はどのような物だったかを知ることができないのは残念です。
㉓エチオピア
エチオピアンは、見た目の特長がうまく表現されています。髪型は強いくせ毛の短髪で、髭は生やしていません。片側の肩を出した腰丈のマントを羽織り、インナーにはくるぶし丈のロング巻きスカートを着けています。足の指が描かれており、サンダルを履いている様子が伺えます。先頭で案内するメディア人と比べ、極端に背が低いことも特徴の一つと言えるでしょう。
献上品である盃は他の国のものと違って蓋があり、使者は右手でそれを押さえています。何か零れてしまうようなものが入っていたのでしょうか。そして次の使者は、長い象牙を片方の手で肩に担ぎ、もう一方の手でオカピを引いています。いかにもアフリカらしいです。
各国朝貢使のご紹介は以上です。少し長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。
ペルセポリスは、世界中に数多くある遺跡のなかでは珍しく、他の古代国の人々を如実に写したレリーフを見ることのできる世界で唯一の遺跡です。また、知ろうとすればするほどに紀元前世界の想像力は広がり、「遺跡は語る」を感じられる素晴らしい古代帝国遺跡です。
最後まで書いてみて、改めての筆者の発見は、ほとんどの古代国の名称母音が「a」で終わっていること。さらに、古来の男性の装いは、現代では主に女性の身に着ける服装や装飾であることです。
そして、これら各国朝貢使の特長を的確に捉え、彫って遺したかった古代人の強い好奇心と、現代を生きる自分とに重なる部分があり、2500年もの時は違えど人間的な感情の共通点に親近感を覚えました。
尚、各国のレリーフは『地球の歩き方』に掲載されているものと若干の違いがあります。
ペルセポリスの入場料は200,000イラン・リヤル≒500円です。
ペルセポリスへの行き方
日本からイランへ
ペルセポリスは、イラン南部の大都市シーラーズから60Kmほど離れた場所にあります。日本からイランまで飛行機の直行便はありませんが、周辺各国からシーラーズ国際空港へのダイレクトフライトがありますので、日本からの直行がある中東主要国やトルコのイスタンブールを経由しシーラーズにて入国することができます。
イランからシーラーズ、そしてペルセポリスへ
個人で行く場合、シーラーズ市内からミニバスで「Marvdasht」へ行き(日本円でおよそ30円)、そこで常時待機しているタクシーに乗り換えます。ペルセポリスの入り口まで200~300円を目安に交渉すると良いでしょう。シーラーズからペルセポリスへダイレクトに行く場合は、タクシー往復上限およそ5,000円で交渉すると良いです。シーラーズ市内からペルセポリスまで1時間ほどです。
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