②バクトリア

バクトリアは、ソグディアナの南方に位置し、現在のアフガニスタンやタジキスタン辺りを中心としたシルクロードのオアシス都市でした。使者は、現代のサッカー選手が使用しているような細いタイプのヘッドバンドを着用しています。髪と長いひげはストレートで、よく見ると耳にフープイヤリングを着けています。フープには長楕円形の何かがぶら下がっていますよ。服は騎兵スタイルで、ゆったりしたズボンをブーツに入れています。全体的に穏やかな印象で、ちょっとカッコイイ系です。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

献上品は、深型と平型のカップ。この中に入っているものが献上品なのか、これ自体が献上品なのか不明ですが、デザインが凝っていて素敵ですので、カップ自体が美しい代物だったのでしょう。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

バクトリアは、シルクロードのオアシス都市らしくラクダが有名です。このフタコブラクダは「バクトリアラクダ」といい、こちらも堂々の献上品です。

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(画像=toshel トリップノートより引用)

③アーリヤ

アーリヤ人は、中央アジアのステップ地帯を出自とする民族で、現代においても超美形が多いとされています。使者の皆様も大きな目が強調されて描かれていますね。カラクム砂漠の乾燥と砂嵐から身を守るため、被っている「タゲルマスト」は綿素材のターバンで、長さは10メートルほどになります。こちらも現代においても着用されていますよね。

タゲルマストを口まで覆ったアーリヤ人は騎馬服を着用し、ゆったりとしたズボンを膝上まであるロングブーツに入れています。ペルセポリスまでの道中、砂嵐などから全身をプロテクトする必要があったのでしょう。砂塵・砂埃対策はバッチリですね。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

アーリヤ人の献上品は、ボウルに入った何かとフタコブラクダ(バクトリアラクダ)です。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

④パルティア

現イラン北東に位置したパルティアは、ペルシアのアケメネス朝が滅びた後に起こったアルサケス朝の王国です。アケメネス朝時代は周辺一帯にヘレニズム文化が広く伝わりましたが、王朝がパルティアに移ると、芸術や衣服などにイランの伝統文化を復権させる動きが見られたといわれています。

使者は、アーリヤ人と同じく頭部にタゲルマストを巻き、耳から口元まで覆っています。アーリヤ人との違いは、巻いたタゲルマストの頭頂部が丸いことです。巻き方に違いがあったのでしょうか。よく観察していますね。パルティア人も騎馬服を着てズボンを膝下までのブーツへ入れています。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

使節団としては少ない3人の朝貢使の貢物は、両手に持った2つの盃とラクダです。(え?これだけ?)

⑤ガンダーラ

ガンダーラ人は、膝丈のチュニックの上に、脇下からスリットが入った踝(くるぶし)まであるロングケープを羽織っています。髪型と髭の様子から直毛ではなく、天然パーマかウェーブヘアをヘッドバンドで留めています。毛量が多そうです。髭も相当、濃そうです。

足元はトング・サンダルを履いており、ふくらはぎの筋肉が強調されています。走るのが早そうで長距離走にも向いてそうです。どことなくオシャレに感じるのは筆者だけでしょうか。さすがヘレニズム美術が発展しただけあります。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

献上物は、先頭を歩くこぶのあるバッファローと、5つの長いランス(槍)、1つのシールド(盾)です。強そう。

【イラン】古代オリエント人のレリーフは必見!ペルシア帝国時代の遺跡「ペルセポリス」
(画像=toshel トリップノートより引用)

ヘレニズム文化の発展したガンダーラでは、美しい仏像や仏塔などが世界に広く知られていますが、当のガンダーラ人に関する情報はほとんどありません。この彫刻は、ガンダーラ人の特長を知る上でも貴重なレリーフです。