古代ローマの浴場文化に起源を持つとされるハマムは、17世紀、イスタンブールにだけでも1万4千以上存在したといいます。オスマン帝国時代に設立され、現在も利用できるイスタンブールのハマムを、歴史を追いながらご紹介します。
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【1】イスタンブール最古「アー・ハマム」
アー・ハマムは、1453年にコンスタンティノープルを陥落させ、東ローマ帝国を滅亡に追いやったオスマン帝国第7代皇帝メフメト2世が造ったハマムです。イスタンブールがオスマン帝国領になって最初に造られたハマムとして知られています。
メフメト2世は、自分と自分の家族のみ、つまり皇族のみが利用できる私的なハマムとして造りましたが、トルコ共和国の時代になると一般に開放されました。イスタンブールで唯一混浴のハマムで、旅行者向けです。
【2】ローカルなハマム体験をするなら「カドゥルガ・ハマム」
メフメト2世の子、バヤジット2世の時代に活躍した宰相ヤフヤーによって設立されたのが、カドゥルガ・ハマムです。エジプト総督と務めていたヤフヤーの有する財力は絶大で、このハマムだけではなく、モスクや神学校、市場、隊商宿などを設立し、帝国の繁栄に貢献しました。
観光客向けでもありますが、地元のトルコ人も訪れるローカルなハマムなので、良心的な価格でハマムを体験することができます。
【3】ピンクの壁が可愛い「アヤソフィア・ヒュッレム・スルタン・ハマム」
16世紀のオスマン帝国の皇帝スレイマンの妃であるヒュッレムが建設を命じたのが、アヤソフィア・モスクの目の前にあるヒュッレム・スルタン・ハマムです。設計を手掛けたのは、スレイマンのためにモスクを設計した、トルコ史上最高と評される建築家、ミマール・スィナンです。
このハマムが造られる前、ここには東ローマ帝国時代から存在した公衆浴場があったとされています。スィナンの建築技術の高さとハマムでの極上の体験を同時に味わうことができるのは、このハマムならではです。
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