小遣いを与えるだけでは金銭感覚は身につかない
英国の個人負債問題は成人だけではなく、若者の間でも急激に広がっている。
英非営利消費者金融アドバイス機関「マネー・アドバイス・トラスト」の調査からは、18歳から24歳の若者の37%が平均2989ポンド(約41万円)の負債に悩んでいることがわかっている。
この負債には住宅ローンや学資ローンは含まれておらず、16%がクレジットカード(平均856ポンド/約12万円)、15%が借越(平均1180ポンド/約16万円)、12%が家族や友人からの借金(平均4644ポンド/64万円)という内訳だ。
37%が「返済のあてはない」と答えており、計画性に欠けた借金であることがわかる。社会にでれば、ここに学資ローンの返済が圧を加えることになる。
米国と並んで金融リテラシー教育が発展しているはずの英国で、どこかの歯車が確実に狂い始めているのは明白だ。
5歳から18歳の子供をもつ英国の親1500人を対象にした、英クレジット信用格付け会社、Experianのサーベイでは、約51%が「金銭感覚を早いうちから学ばせるために、小遣いを渡している」、58%が「お金を稼ぐことの大変さを理解させるために、何らかのタスクを与えて(家の手伝いなど)、報酬として与えている」と、回答を見る限り正当なリテラシー教育が行われているように見える。
しかしここで気になるのは、小遣いを渡す頻度だ。59%が週単位で小遣いを与えており、10%が特に頻度を決めていない。
成人してからの一般的な収入サイクルは1カ月である。週に一度の短期サイクルや不定期な収入に慣れきった子供に、成人した途端、その4倍ほどの長さの収支計画を立てろというのは、多少なりとも強引な気がする。
また子供にはリテラシーを説く一方で、親が浪費に走っていては、本当に価値のある成果が生まれないということは、前述した「親の歴史の繰り返し」でも立証されている。
リテラシー教育を徹底するのであれば、まずは親が自分自身の金銭感覚を磨き、子供の年齢や状況に応じたアドバイスを行っていくことだ。
文・ZUU online 編集部/ZUU online
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