「遺言書」を親に書いてもらうためにまずは自分から

さて、いざ親に「遺言書を書いて」と言って、二言返事で返されるということは、そうそうない。大概、冒頭の文面どおり「まだ先でいいじゃないか」と、濁されて話は先送り、事態が起こったときには手遅れ……というのが一般的だろう。

では、どうするか。オススメの方法は、「まず自分が書いてみる」のだ。遺言書に年齢は関係ない。保険と同じで、「いつ・どこで・何が起こるか」など誰にも分からない。自分で書いてみると、遺言書のメリットが理解できるはず。そのメリットを、遺言書を見せながらでも良いので、親に話せばいいのだ。遺言書は自筆でできるものと、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書がある。自筆で行う場合、書店で購入出来る「遺言書キット」がオススメだ。

「エンディングノート」から始める

もうひとつオススメの方法として、「エンディングノート」を紹介しよう。エンディングノートには、遺言書のような「ルール」がなく、自由な故人の意向を表明する文書だ。書き出しは、難しい話でなくていい。自分の好きなこと、楽しかった思い出、後悔していること、これからやりたいこと、何でもいい。

書いていくうちに、自分自身、気持ちに整理がつき、遺される家族にどのようにして欲しいか、自然と答えは出てくるだろう。そして、遺品や遺産の相続人を記載する。

この文章を作成するだけでも、両親に「遺言書を書いて欲しい」という気持ちが、誠実に伝わるだろう。なぜ遺言書が必要なのかと尋ねられたら、先に挙げた「遺言書がない場合、どのようなことが、遺族の日々の生活を圧迫するか」を話せばいい。

自身がそうさせたくないから、「エンディングノート」を若いうちに書いている様子を見せれば(中身まで見せる必要はないが)、親は納得して、遺言書作成に着手してくれる可能性は高まるはずだ。

ただし、ここで重要なのは、親世代の場合「エンディングノート」では終わらせずに、必ず正式な「遺言書」を作成してもらうこと。

説得させるには、まず自分から。面倒を先送りしているのは、もしかしたら我々世代の方かもしれない。

文・佐々木 愛子(ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅱ種、相続診断士)/ZUU online

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