次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

鈴木保奈美が“卒婚”ではなく“離婚”を選んだのはなぜなのだろう

女優・鈴木保奈美(54歳)と、とんねるず・石橋貴明(59歳)夫妻が23年間の結婚生活を解消、離婚した。今どきらしく、石橋のYoutubeでの発表だったが、画面には文字が流れるだけ、最後にツーショットが映っただけで肉声はない。ただ、保奈美が落ち着いた微笑を浮かべているのが印象的だった。

 鈴木は石橋が経営するプロダクションに所属しているため、今後もビジネスパートナーとしての関係は継続するとしている。だが鈴木は昨年、個人プロダクションも設立しているので、今後、さらなる展開はありそうだ。

 それにしても再婚同士で家庭を築いて23年。精神的に離れて夫婦が自立する流行の“卒婚”ではなく、手続きも大変な“離婚”を選んだのはなぜなのだろう。

『東京ラブストーリー』リカの一言

鈴木保奈美という女優が一気に有名になったのは、フジテレビのいわゆる月9ドラマ『東京ラブストーリー』(‘91年)だろう。月曜の夜、街から女性が消えたといわれる伝説の人気ドラマだ。

 彼女は帰国子女の赤名リカという、自由で正直でまっすぐで、それでいて繊細なところのある魅力的な女性を演じた。あの少し高い声で、「カーンチ、セックスしよ」と言ったとき、観ている女性たちは度肝(どぎも)を抜かれ、そして大きくうなずいたものだ。

 その2年前、雑誌『an・an』が「セックスできれいになる」と表紙に謳(うた)って大ブームになったこともあり、女性たちがセックスを謳歌していいのだとダメ押しするような一言だったから。あの一言は女性たちの意識を確実に変えたのではないだろうか。

 鈴木保奈美は、それ以降、毎年のようにドラマに出演、女優としての地位を堅固なものにしていった。