プロの通訳者でも、未だにカベの連続という方も少なくありません。
それほど辛く、険しい英語学習の道。
「どんな時に壁を感じて、どうやってその壁を乗り越えたのか?」という質問を投げかけてみました。

英語学習の壁の乗り越え方

●発音に自信が持てなかったので、しょっちゅう音読をしていた。自分の音読を録音して「これなら大丈夫」と思えた時がカベを乗り越えた時だったと思う。

●通訳になってからはカベの連続。自分の同通を録音して、帰宅する電車の中で聞いて反省。逐次もノートを見直して反省。カベを乗り越えたことにはならないのかも知れないが、お客様が褒めてくださった時、再度指名してくださった時は報われた気がする。

●内容が完全に理解できない時。最低5回は読んだ。

日本語も英語も一度で聞いたり、読んだものを完全に理解して、それをすぐにストレートに説明したり、書いたりして表現できる場面が増えた時。また昔の英語話者の友人に会った時に、充実した会話が成立する時。

●あたらしく覚えようとしている英単語があまりにも難しくて、正確に発音することさえ難しい時。

基本に立ち返って、その単語やフレーズを暗記し、スムーズに口から出てくるようになるまでさまざまな文脈の中で繰り返し発音します。

●カベはいつも感じています。目の前の仕事の準備を一生懸命することで、完全ではなくてもなんとか壁を越えているのだと思っています。

私にとって勉強というのは、未知の世界を知る喜びです。ですので、目の前には常にカベがあると考えています。しかし、そのカベというのは、私の前で立ちはばかるものではなく、壁には常に扉があり、扉を一つ一つあけると新しい世界が目に入ってくるという、そんな状況だと私はとらえています。

私の場合、そのカベは乗り越えるべきというよりは、カベの扉を開けては前に進み、また次のカベの扉を開けては前に進むという、その繰り返しだと考えています。

●カベを感じるのは、せめてこれ位はできるようになりたいというレベルになかなか達することができない時です。

ひたすら努力でカベを乗り越えるしかないと思います。また、先輩方の話に耳を傾けたり、本を読んだりした時に、ふときっかけが耳に(目に)飛び込んでくるように感じたことがあります。カベを越えたと思う時は、今まで出来ずに苦しんでいたことが、さほど苦労せずに自然にできるようになっていると感じた時です。

●スキルアップする時というのは、緩やかに知らない間に上昇する、というよりも、階段のように急にステップアップする、という感覚があります。

●カベはいつもあると思いますが、その仕事ひとつひとつを自分の責任として、ひとつひとつこなしていくことのみを考えています。

●いわゆるPlateau(プラトー)と呼ばれる、ラーニングカーブのプロセスの中で伸びていない自分を見つけた時。

そのまま勉強を続けました。気晴らしによく遊びましたが。やはり、プラトーというのは次に伸びるチャンスだから、ここでやめずに勉強を続けなさい、という故斎藤美津子先生の言葉を信じていました。一度乗り越えても、また何度もこの状態になるとも伺い、仕事をしながらも、カベにぶつかったと感じる時期はありますが、特に落ち込むこともなく、変りなく努力し続けるようにしています。「カベを越えた」というのは、自分に進歩が見えた時です。人と比較した時、他の人の進歩が自分より早いと焦りますね。余談ですが、他人は他人、自分のペースでいこうと思います。

●勉強していてカベを感じるのは、単なる言葉の変換はできても、その心が通じているのか確信が持てず、それでも時間の制約からベストエフォートで訳していたかけだしの頃。悩むかわりに1つでも多く単語を覚えるのが近道、と教わっていたので、まずは必要な語彙や表現を覚えては忘れ、また覚えて、を繰り返しました。場数を踏むうちに語彙や表現が増え、ゆとりもできて、2-3年かけて少しずつカベを越えられたように思います。

●通訳でも翻訳でも慣れてくると知らないうちに同じ言い回しばかり使って内容がつまらないものになっていると感じることがあります。それを防ぐためには、他の人の翻訳を見る機会があって良い言い回しがあったらその人から盗んだり、会議中にスピーカーの気になる言い回しをメモしたり、今では人のブログを読んで勉強をしたりしています。

●カベはたくさんあります。今でもたくさんのカベがありますから。一番大きなカベは通訳になれた後に直面した帰国子女の方との差別化というところでしょうか。ジョークも文化背景が分かるからこその訳だし、そして流暢であるからこその早さはかないませんでしたので。そこで、技術通訳に転向し徹底的に技術を勉強しました。幸い転向する時にも通訳学校からもすぐ技術系の仕事もご紹介いただき、かつそこでも教育担当を一人付けてくださいましたからとてもラッキーだったとは思います。

それから、数年がむしゃらにやってきて、よくお客様から早い訳だしで冗談も訳してくれてありがとうという言葉を頂戴するようになりカベを乗り越えたなと思えるようになりました。コンプレックスに思って長所を伸ばしてきたら、気付いたら短所も克服されたということなのでしょうね。

●「完璧!」と思えることがない仕事なので、カベは常に感じています。ある程度キャリアを積んでくると自分に対するハードルも上がってきますし、毎回新たに学ぶこと、つまり知らなかったことが必ず出てくるので、「まだまだだ」と思う毎日です。カベを乗り越える方法は、チャレンジングな仕事を選んで、苦しみながらも最後までやりきること。楽な方ばかり選んでいては前進がないので。

その積み重ねが新たな自信と経験、スキルにつながっていき、時に立ち止まって振り返ると「あの頃に比べたら成長したな~」と思えます。でもカベに直面しない仕事なんて張り合いがないです。カベは成長の糧です!

●通訳をしているとあまり知識のない分野や業種の仕事をすることが多々ある。お金をいただいている以上、調べられる限りを尽くして仕事に臨みますが十分ではない場合もあります。でも、いろいろな観点から調べた断片化された情報・知識が、仕事をするにつれて点と点がつながっていくようにクリアに理解できるようになった時、カベを越えられたと思う。通訳者の仕事はこの繰り返しなのではないでしょうか。

●カベはいつも目の前にあります。

●通訳学校で進級できなかった時です。心機一転通訳学校を変えました。自分に合っていて高い評価をもらえた時です。

カベにはしょっちゅうぶちあたっていますが、いつの間にか越えているのかも

●英語の勉強はマラソンでこつこつと持久力で続けていくしかないものだと思っています。いつの間にか気付いたらそこそこの実力がついていた、というものではないかと思います。従っていつもカベは感じているし、低いカベはいつの間にか乗り越えているし、その先にはまたもっと高いカベが待ち構えている、ということの繰り返しです。

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