功績を収めたスポーツ選手は兵役免除に?
オリンピックで銅メダル以上、またはアジア大会で金メダルを獲得すると兵役特例が適用されます(団体入賞時は出場した選手のみが兵役特例の対象)。
免除として知られていますが、実際は免除ではなく補助役への判定軽減です。具体的には、補助役のうち「芸術体育要員」を勤めることになります。3週間の基礎軍事訓練を受けた後、服務期間(2年10か月~3年)の間、該当分野のプロチームで活動する条件で兵役義務を代替します。転役後は、一般兵と同じく予備役と民防衛の義務が残ります。
韓国サッカー界のスーパースターであるソン・フンミンは、アジア大会で金メダルを獲得したため兵役特例を受けるであろうと推測されています。
韓流スターは30歳まで延期の可能性が。BTS兵役法の成立
世界的な人気を集める男性アイドルグループBTS(防弾少年団)は、アメリカのビルボードチャートで1位を獲得するなど、K-POPの歴史を塗り替える活躍を続けています。
こうしたことから、韓国の大衆文化を世界に広めた貢献に対し兵役を免除すべきという声もあがり、韓流スターたちの軍入隊に関する議論が続いていました。
その結果、入隊時期を満30歳まで遅らせることができる兵役法改正案、いわゆる「BTS兵役法」が2020年12月国会で成立し、2021年6月23日から施行されました。 これにより、大衆文化芸術分野で国家に貢献したと認められた場合には、法的に軍入隊の時期を遅らせることができるようになりました。その範囲や具体的な内容については、大統領令で定められるところとなりますが、文化勲章や大統領表彰などの実績が条件となると見られています。
芸能人が配属された!気になる部隊
一時期人気K-POPスターの配属が相次ぎ注目度が高まった「義務警察」と「軍楽隊」。入隊するにはどちらも試験があり資格や技術、経験が問われ、競争率が激しいことでも知られています。
スターが配属され話題となった部隊のお勤め内容をチェックしてみましょう!
義務警察とは?
軍隊で訓練をする代わりに交通整理や集会・デモ管理など警察の業務をサポートします。陸軍管轄の警察庁義務警察または海軍管轄の海洋警察庁義務警察があり、服務期間は所属する軍と同じです。
中でも、K-POPスターの配属が多いのは啓発活動を行なう「警察広報団」。活動の中にはミュージカルや公演があり、服務中も芸能分野で活動を続け芸を磨くことができるため、芸能人の志願が少なくありません。 ※義務警察は2023年9月までに全面廃止される予定です。
演奏会や各種軍隊関連行事に参加する軍楽隊。韓国には大きく分けて陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4つの軍楽隊が存在し、さらに各部隊に音楽公演のためのバンド、国楽隊、管弦楽団などを有し、木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器、実用音楽などのパートに細分化されます。
入隊するには一定の志願基準を満たしたうえで実技試験に合格しなければなりません。志望部隊により必要となる楽器や技量が定められており、実技試験の項目には歌唱、作曲、ピアノなどがあります。 歌手はもちろん、楽器の演奏能力を問わない俳優やお笑い芸人、マジシャンも軍のイベントMCのため配属されることがあります。
義務警察の警察広報団同様、服務中も芸を磨くことができます。軍隊にとってもすでに実力の認められたスターを活用できるため、まさにWin-Winの関係と言えるでしょう。
あの芸能人の配属先は何をする部隊?
スポーツ選手が選抜されやすい国軍体育部隊
スポーツ界のスター選手にとっても、兵役は避けては通れない義務。
スポーツ選手が多く志望する配属先に、優秀選手の育成を目的とした国防部直轄のスポーツチーム「国軍体育部隊」があげられます。韓国内では、部隊が運営するチーム名「尚武(韓国語読みはサンム)」として知られています。
尚武はサッカーやバスケットボール等のプロ種目からバイアスロンや近代五種等のマイナー種目まで合計33種目で構成されており、サッカーなど一部プロ種目にはスポンサーもついています。 軍事訓練より練習に打ち込め、シーズンになるとオリンピックや各種大会に出場できるとメリット大。スポーツ選手であれば誰でも入隊できるわけではなく、徹底した面接と身体能力検査により選抜されます。
また、服務中に大会で功績を残し「芸術体育要員」の対象になると兵役特例が与えられ、現役から名誉役となり転役します。 ※国軍体育部隊同様、服務しながら特性能力を伸ばせるとプロゲーマーが多く志願した空軍の「ACE(電算特技兵)」は2012年に廃止されました。