両立を可能にする柔軟な働き方は女性のためだけではない

『女性のライフコースの理想と現実』(久我尚子、ニッセイ基礎研究所、2018年)は、「仕事と家庭の両立という話題は、女性の問題として語られがち」と指摘したうえで、「女性が理想のライフコースを歩むための諸条件は、じつは女性だけでなく男性も、皆にとって必要なものだ」と述べています。

現在、男性の「両立」問題としてクローズアップされているのが、「介護」の問題です。厚生労働省『平成28年国民生活基礎調査』(2016年)によると、同居の主な介護の担い手は15.4%が息子。現在では、息子の配偶者つまり「嫁」の11.9%を上回っているのです。

また、総務省統計局『平成29年度就業構造基本調査』(2018年)によると、介護をしている男性のうち週6日以上行っている人の割合は、正規雇用者では20.3%ですが非正規雇用者では29.8%にアップします。逆に言うと、現状ではほぼ毎日介護を行うには、非正規雇用に移行しなければ難しいと見ることもできます。

仕事と家庭の両立を可能にする働き方は、誰にとっても必要なものなのです。

妻と夫でお互いのキャリアを支え合うという選択

女性初のプリンストン大学公共政策大学院院長となり、アメリカ国務省政策企画本部長も務めたアン=マリー・スローター氏は、若いカップルにこうアドバイスしています。

「ふたりともが選んだ分野でトップに昇る可能性はある。しかし同時ではなく、さまざまな時点でトレードオフと代償がある。そのときどんな選択をするのか、計画を事前に話し合っておいた方がいい」(『仕事と家庭は両立できない?「女性が輝く社会」のウソとホント』アン=マリー・スローター著、篠田真貴子解説、関美和訳、NTT出版、2017年)

前述の論文『多様な正社員の働き方の実態』は、男性が労働時間の短縮や勤務地の限定など多様な働き方をする正社員であった場合、女性の家庭負担が軽減され正社員雇用を促進する可能性を示唆しています。さらに、多様な正社員の満足度は無限定な働き方をする正社員より高いことも示しました。

女性だけが働き方を調整するのではなく、夫と協力し合い、お互いのキャリアを支え合う道もあるのです。

キャリアの継続には、社会とパートナーとの連携が必要

(写真=Manop_Phimsit/Shutterstock.com)

筆者は、日本の女性は働くことの困難に直面したとき、自助努力で何とか頑張ろうとしてしまうように感じます。けれどもそれは、女性が自分だけで解決できることではなく、またそうする必要もありません。ひとりで頑張りすぎないで!と声を大にしたいです。

現在は政府の重要施策として働き方改革が推進され、日本の労働環境も徐々に変わりつつあります。そして一番身近な味方は、あなたのパートナーです。妻と夫がタッグを組んでサバイブしていきましょう。

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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