給与担当者の知識によっても変わる

ここまで、特別徴収でも確定申告書で「自分で納付」を選べば、副業の住民税は別で計算され自宅に納付書が届くと説明しました。しかし、実際にはこれだけやっても会社に副業がバレる可能性がゼロとは言い切れません。

特別徴収をしている会社に届く住民税の書類には2種類あります。1つ目は会社が住民税を計算するための「徴収者用」、2つ目は切り離して従業員に渡し住民税の金額を通知するための「納税者用」です。この2つの様式は、市町村によって異なり、記載される項目や情報量にも違いがあります。

「徴収者用」には基本的に住民税の金額しか書いてありません。しかし、摘要欄に他に所得があること等が稀に記載されていることがあります。「副業をしている」とダイレクトに書かれることはありませんが、他の従業員にはない記載があることで、給与担当者がピンときてしまう可能性リスクはあります。もちろん、特に記載はしない市町村もあります。

また、「納税者用」は袋綴じになって受け取った従業員本人しか中身を見れないタイプもあれば、切り取り線があるだけで内容が給与担当者にも見えてしまうタイプもあります。「納税者用」には住民税以外の所得や所得控除に関する項目も記載されているため、知識のある給与担当者であれば、副業の有無がわかってしまうことがあります。

ただし、現実的には従業員一人一人について摘要欄や所得の欄までチェックするのは手間がかかるためしている会社は少なく、実際には給与担当者はそこまでしないことが多いのが現状です事務的に給与計算をしていることがほとんどです。少人数の事業所で、経営者と懇意で熱心な事務方が給与計算をしており、職場で副業が禁止されている場合などは要注意かもしれません。しかし、そこまで条件が揃うことも稀でしょう。

税金については小まめな情報収集をしよう

住民税の計算の仕組みや、副業を会社に知られたくない場合の確定申告書の記載方法について解説しました。確定申告で「自分で納付」を選択すれば、副業は会社にバレにくくなりますが、可能性はゼロではありません。会社が副業を全面的に禁止している場合は、会社に隠れて副業をするのはやめましょう。

税法は毎年改正されるので、制度がずっと同じままというわけではありません。副業を続ける限り、基本的な税金の仕組みは理解したうえで、しっかり情報収集に取り組みましょう。

文・緒川棗(ファイナンシャルプランナー)/DAILY ANDS

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