ちょっとしたことで乱れてしまいがちな自律神経
女性は時期によって、心も身体もデリケートになりがちです。体調不良が続くなと感じた時は、もしかしたら自律神経が乱れているかもしれません。自律神経が乱れると、なんとなくだるかったり、熟睡しても疲れが取れなかったり、天候や精神状態によって症状が悪化するなど身体に影響が出たりします。
ストレスと自律神経の関係
そもそも『自律神経』とは、自分の意思とはほぼ関係なく、生命維持のために体内をコントロールしてくれる神経のことで、交感神経と副交感神経の2つからなります。生命維持コントロールの具体例は、体温調整、呼吸、発汗、心臓の鼓動など。交感神経と副交感神経が、バランスよく適切な強さで機能することで、私たちの肉体は安定的に保たれているのです。
ストレス等を原因に、自律神経のバランスが乱れると…
つまり「交感神経」」と「副交感神経」のどちらかが強くなりすぎたり、両者とも弱まってしまったりすることで、以下のようなことが起こると考えられています。
①交感神経が強くなりすぎると…
イライラ・動悸(どうき)・ドライアイ・ドライマウス・身体のコリ・不眠など
②副交感神経が強くなりすぎると…
ぜんそく、アレルギー症状の悪化、無気力、過食など
③両神経の働きが鈍ると…
体調不良が続く、疲労感、うつ症状など
自律神経の乱れによる不調が現れやすいタイミング
▼ストレスが限界に達したとき
現代女性の場合、自律神経が乱れる原因として、職場における人間関係や家庭内での悩み、将来についての不安などの精神的なストレスのほか、過労による身体的なストレスが挙げられます。ストレスを受けていても、最初のうちやエネルギーがあるうちは症状が現れにくいのですが、やがてエネルギー不足に陥り、ストレスが限界に達してしまうと、体がSOSのサインとして症状を引き起こすといわれています。
▼月経前
月経の1週間ほど前にあたる「黄体期」になると、女性はイライラやうつうつとした状態になるPMS(月経前症候群)の症状が現れやすくなります。女性ホルモンに指令を送る脳下垂体は、自律神経をコントロールする視床下部のすぐ下にあるため、自律神経がホルモンの変化によって影響を受け、自律神経症状を引き起こしやすくなってしまうといわれているのです。月経前は特に、ストレスを溜め込まないように気を付けたいところですね。
ヨガが自律神経の乱れに効果的な理由とは?
◎ヨガの呼吸法で副交感神経を高める
ストレス過多で優位になった交感神経を鎮めるには副交感神経の働きを活性させることが大切です。副交感神経を優位にするには、深く、ゆったりとした腹式呼吸を行うと良いことがわかっています。ヨガの呼吸法は、鼻で息を吸って鼻で吐くのが基本で原則的に腹式呼吸。副交感神経を優位にさせる上で効果を発揮します。数あるヨガ呼吸法の中でも、特に「吐く息を長くする呼吸法」と「片鼻の呼吸法(ナディショーダナ)」がオススメです。
吐く息を長くする呼吸法
1:2の割合で吐く息を楽に伸ばしていくシンプルな呼吸テクニックです。副交感神経を高め、リラックスできることから、不眠症や不安の軽減に効果があると言われています。
片鼻の呼吸法(ナディショーダナ)
鼻呼吸で、右の親指で右鼻を閉じ、人差し指と中指を内側に曲げて片鼻で呼吸を行なっていきます。反対の左鼻も同様に行います。
これらの二つの呼吸法は、ちょっとストレスを感じたらデスクでも、気軽に取り組めますので是非、知っておいてくださいね。
自律神経はヨガで整えることができる!
まずは、ヨガからの3つのアプローチをご紹介します。3つのポイントを意識して行ってみましょう。
1.ツイスト系ポーズ&後屈系ポーズ
自律神経は、他の種類の神経とともに背骨の中を走っており、そこから全身に広がっています。ヨガのポーズで背骨を適度に刺激したり、ゆがみを正せれば、自律神経の伝達が良くなり、自律神経の働きをまとめて整えられます。姿勢やバランスの改善で、筋肉の余計な緊張をゆるめることにも繋がりますね。
背骨を整えるには背骨をねじる『ツイスト系』のポーズや、もともとS字カーブの形である背骨をストレッチさせてゆがみを整える『後屈系』のポーズがオススメです。後屈系ポーズは、交感神経を優位にする働きもあるので、やり過ぎに気を付け、就寝前は控えめに。しかし後屈には呼吸の質を高め、気分をすっきりさせる効果もあります。
2.前屈系ポーズ
現代人に多い交感神経が活発すぎる状態を改善するには、副交感神経を優位にさせる働きのある『前屈系』のポーズがオススメです。視界が遮られることで外部刺激を減らすと同時に、腰を軸に身体を折りたたむので腹部が脚に守られ温められて心身がリラックスできます。
3.呼吸の仕方
呼吸は自律神経が支配する身体の生命維持機能ですが、自分の意志で深さや速さが調整ができます。この深さ・速さをコントロールすることで、交感神経を優位にしたり副交感神経を優位にしたりすることができます。
交感神経を高めるには…吸う息に意識を向けた呼吸をする。または、肋骨を広げる胸式呼吸をする。 副交感神経を高めるには…吐く息に意識を向けた呼吸をする。または、お腹を膨らませる腹式呼吸をする。 イライラを感じる時は、ぜひ副交感神経を高める呼吸を意識して行ってみてください。朝、シャキッとしない時は交感神経を高める呼吸を行うなど、その時の心と身体の状態に合わせて使い分けてみましょう。 なお、呼吸は口を通してではなく鼻を通して行いましょう。
ヨガポーズを行うときは、ポーズによって胸式呼吸が難しかったり、腹式呼吸が難しかったりします。ポーズ中はゆったりした深い呼吸を心がければOK。普段無意識にしている呼吸が意識的になるだけで、心を落ち着かせる効果があります。
自律神経を整えるためのヨガの方法&おすすめポーズ
では、自律神経を整えるためのオススメポーズを見ていきましょう!お口の口角を上げてにこやかな表情で無理なく取り組みましょう。
1.キャット&カウ(マルジャリアーサナ&ビティラーサナ)
まずは軽い後屈を含む準備運動で背骨・上半身のこわばりをとってあげましょう。寝る前のリラックスエクササイズとしても◎
やり方
- 四つん這いになります。肩の真下に手首、股関節の真下に膝が来るように。
- 背骨が頭頂⇔お尻の引っ張り合いで、長く伸びるのを感じながら平らな背中を作りましょう(テーブルポーズ)※手の平、ひざ、すね、足の甲で床を押し続けましょう。
- テーブルポーズで一度息を吐いて。
- 吸いながら腰に軽くくぼみを作り、その動きを生かして胸を前方へ開き、視線を上方へ。※お腹の力を抜かないように。腰を反らしすぎると痛める危険があります。※首の後ろ、ギュッと詰めすぎないように。これも首を痛める危険があります。※背中の肩甲骨を下へおろすようにすると胸が開きやすいです。
- 吐きながらお尻のしっぽ(尾骨)の先を床に向け、その動きを使って背中を丸め、視線をおへそへ。※両手で床を押し、肩甲骨が左右に離れるのを感じましょう。背中の広がりを楽しみましょう。
- 4と5を繰り返します。吸う息、吐く息の長さに合わせてゆっくりと動いていきます。※背骨は椎骨(ついこつ)という小さな骨が連なっています。椎骨一つ一つを感じるように丁寧に動いてみましょう。 ★動きを好きなだけ繰り返したら、次の吸う息でテーブルポーズに戻ります。手首のケガをされている方は避けた方が良いでしょう。
2.コブラのポーズ(ブジャンガーサナ)
背骨の軽い後屈ストレッチを、数呼吸キープしてみましょう。
やり方
- うつぶせになります。足は腰幅、両手は胸の横に。
- 腕を体側に沿わせ、両ひじをできるだけ近くに寄せます。
- 息を吐きながら下腹の安定(力が入った感覚)と、恥骨・足の甲が床をとらえるのを感じて。
- 吸いながら上体を起こします。恥骨が床を押す力で背筋が上へ伸びていきます。正面またはやや上を見て数呼吸キープ。 ※肩と耳を離し、首すじを長く保ち、肩はリラックスさせましょう。 ※あごを軽く引き、胸を空へ引き上げましょう。 ※ひじ・手の平に、後方(足のある方向)へ向かうエネルギーの流れを意識しましょう。それが胸を開きます。 5.吐きながら、上体をゆっくりと床に下ろしましょう。余裕があれば、2,3回繰り返して行いましょう。 妊娠中、頭痛、背中や首のケガをされている方は避けた方が良いです。