Tさん(52歳、主婦)はご主人の転勤で生まれ育った広島から東京へ引っ越すことに。慣れない土地で子育てに奮闘し、二人のお子さん(長女27歳、長男25歳)の教育費で貯蓄はほとんどできませんでした。これから迎える夫婦の老後は?数年前から貯蓄に目覚め、「退職金だけでは、夢をかなえることができない」と頑張っていらっしゃいます。

Tさんのプロフィール

Tさんは、電機メーカーにお勤めで、同じ会社の先輩で、同じ高校出身でもある今のご主人(55歳)とご結婚されました。結婚2年目にご主人に転勤の辞令があったので、Tさんは、悩んだ末に会社を辞めてご主人と一緒に東京へ行くことを決心されました。

お子さんたちは、中学校を受験し、私立の中高一貫校から私立大学へと進学、現在は社会人となられています。よりよい学習環境で学んでもらいたいという親心から、Tさんは、長男さんが小学校に入学してしばらくした頃、正社員として再就職をされました。

子育て期の家計

中学受験のために、長女さんは小学校4年生から塾へ通うことになりました。私立中学へ入れば、学習面はすべて学校に任せられると考えていたTさんですが、授業についていくには塾に通うことも必要で、教育費は思ったよりかさんでしまいました。家族4人での年に3回の帰省費用もかかります。ご主人もTさんも、正社員として働いていましたので、収入は十分ありましたが、長女さんが独立する頃まで、貯蓄を増やすことはできませんでした。

忙しい毎日でしたが、お子さんたちは成長し、Tさん自身も頑張ることができましたので、後悔はないとおっしゃいます。

貯蓄が増えていないことに気づき奮闘

Tさんが49歳になり、長男さんが今年の春で大学を卒業するという頃、教育費がかかるのもあと少しとなったのをきっかけに、家計簿をつけてみることにされたそうです。これからは、夫婦の老後資金に目を向けなければなりません。

現在の収入は、ご主人が月収35万円、ボーナス80万円(手取り)、Kさんは月収30万円、ボーナス50万円(手取り)、貯蓄残高は370万円となっています。

Tさんは60歳になったら、家を購入しようと考えていらっしゃいます。ご夫婦で相談され、中古住宅なら一括で購入することもできるかもと、ボーナスを全額貯金。月々の支出からは、生命保険、通信費、光熱費、クレジットカードの引き落としなど、見直しできそうな支出を洗い出して削減し、それまでかかっていた教育費と合わせて20万円貯蓄に回していくことにされました。

Tさんの貯蓄方法を紹介

Tさんは、家計簿をつけて収支に向き合う習慣ができてくると、もう少し工夫してうまく貯蓄できると、楽しい老後生活が送れるのではないかと、貯蓄に対するモチベーションが上がっていきました。

「60歳までにあと1,000万円多く貯蓄しよう!」そう思って実行している方法をいくつか教えてくださいました。

ネットスーパーや食材配達を利用する

食品や日用品などの買い物は、宅配サービスをうまく利用します。特売商品も買えるうえに、まとめて買うことで支出をコントロールしやすくなります。

冷凍食品やインスタント食品など、簡単に調理できるものを常備しておく

外食費が節約できますし、主人も手伝ってくれます。

クレジットカードを使ったときは、その都度家計簿に記録する

お財布に入れておいても使わなかった現金があれば、クレジットカードで使った分と清算して月末に口座に戻すか、差額があれば貯蓄用の口座へ移します。

毎月の給与から先取り貯金し、引き落としの積み立てを活用する

夫婦で、節税メリットのある確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISAに加入しています。

具体的な目標が力になる

Tさんが、住宅購入費のほかにあと1,000万円多く貯金したいと思った理由は、毎年の海外旅行やお孫さんへの経済的な援助も実現したいからだそうです。老後資金について具体的な目標ができたことで、これからもしっかりと貯蓄を続けていくことができそうですね。

 
文・藤原洋子
所属・FP dream代表
生命保険会社で営業職を経験し、AFP資格を取得。現在は、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、執筆、相談、セミナーを通して活動しています。

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