相続税は多くの人が頭を悩ませる問題だ。現金以外に不動産や有価証券などの財産がある場合、いざ相続が発生してから想定以上の相続税額に驚かされる人も少なくない。そこで提案したいのが、子や孫への生前贈与と生命保険の活用を組み合わせた相続税対策だ。

相続対策に効果的な生前贈与

相続が発生した場合、被相続人が死亡した日の翌日から10ヵ月以内に相続税を納めなければならない。2018年現在、遺産にかかる基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」となっており、これを超える部分については相続税が発生するのだ。

相続税率は、相続財産の額に応じて以下のように変化する。

1000万円以下……10%
3000万円以下……15%
5000万円以下……20%
1億円以下……30%
2億円以下……40%
3億円以下……45%
6億円以下……50%
6億円超……55%

相続財産が多ければ多いほど、相続税の負担率は大きくなるのだ。そのため基礎控除額を差し引いてもなお相続財産がある世帯では、相続税対策について真剣に検討する必要がある。

そこで提案するのが、「暦年贈与」による相続税対策である。我が国では個人から財産をもらった場合、贈与税を納めなければならない。しかしこれには例外があり、その年の1月1日から12月31日までにもらった財産の合計金額が110万円以下ならば、贈与税がかからないのだ。

父・子2人、という世帯があるとしよう。そして、父から子2人へ毎年110万円ずつ10年間にわたり贈与すると仮定する。上述のように贈与税には110万円の基礎控除額があるため、この世帯では贈与税を納めることなく父から子へ財産2200万円を移転できることになるのだ。