「チャイニーズ・ヌードル」として認識されている?

シドニーやメルボルンには美味しいラーメン店が増えてきているが、郊外に行けば行くほど、そのクオリティーはゆるやかに下がっていく。

ローカル色の濃い地域、いわゆる田舎に行くと、「ヌードル」=「チャイニーズ・ヌードル」という認識が強い場合が多い。

例えばそれは、焼きそばのような中国風炒め麺か、薄味の醤油味のスープに細いうどん麺といった具合である。実際、食事を提供しているのも中国人系かフィリピン系移民が多いのである。

たまに、「ジャパニーズ・ヌードル」のメニューを郊外で発見するも、それは正真正銘「ワンタン・ヌードル」であった。

シドニーやメルボルンでは「ラーメン」は、醤油味、豚骨、味噌、塩味があり、極上ちぢれ麺の「日本の食文化」であるが、田舎ではそうはいかない。「日本のラーメン」が「チャイニーズ・ヌードル」の枠を超えて独り立ちするのは大変なことなのかもしれない。何せオーストラリアは米国と同じ大きさである。

そうは言いつつも、シドニーやメルボルンはオーストラリアの情報発信源であり、東京オリンピックも近い。日本に更なる注目が集まればラーメン市場も盛り上がるに違いないだろう。

多国籍だからこそ見られるこんな事・あんな事

ここオーストラリアでは宗教上の理由から、豚肉を食べない人達がたくさんいる。そんな人は「豚骨」を避け「醤油」や「味噌」を選択するようだ。

醤油に至っては、風味や塩気、また含まれる材料が違うものの、彼らにとっては普段使用の食材である。自然と受け入れられる味のようだ。

加えて、中国系や東南アジア系移民の人達は、麺を日常から食べるので、日本のラーメンはなじみやすいようだ。

また「麺は辛くなければダメだ!」と真っ赤な唐辛子をバサバサかけて食べる、そんな東南アジア系の男性も多いと聞いた。

そして、オージーは「味噌」に対して寛容である。

この国には「ベジマイト」という茶色っぽいペースと状の食べ物がある。しょっぱい感じはするが栄養満点の発酵食品である。子供の時から「トーストにはベジマイト」 そんな習慣があるくらいオージーにはなじみ深い、ちょっとクセのある食べ物だ。

「味噌ってベジマイトをミルクっぽくしたような感じだよね」

なるほど、それにポークチョップの要素を加えれば「豚骨味噌」の完成だ。

スープを飲み干す派、それとも残す派、それぞれこだわりはあるだろう。概して、オージーはスープを味わう代わりに「お酒や会話」を楽しむようだ。「スープをすするのはマナー違反ではないよ」と言われたオージーたちが、首を傾げながらも、飛び散るスープのしぶきを気にせずに飲むようになるまでには、多少時間がかかりそうである。

文・トリー・雪香(豪州在住のフリーライター)/ZUU online

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