お金の価値、家族のあり方を考えた

それ以降、ご実家のご家族とはお付き合いがあり、度々、保険の相談に呼んでくださったのですが、妹さん名義になった養老保険のことは、話すことはできません。

いくら家族でも、個人情報保護の関係上、本人の許可なくしては、一切話すことはできないのです。

同じ女性として、同じ娘という立場として、筆者は色々な考えや思いが頭を回りました。

同じ金額のお金でも、例えば宝くじで運よく当たった当選金と、親が想いをかけて積み立ててくれた満期金とでは、重みが違うように感じるのは、筆者の勝手な感情論でしょうか。

名義変更をするよう助言した理由

一応、今回養老保険の名義変更をするようアドバイスしたのには、いくつか理由があります。

まずは税金の観点から。「契約者≠満期金受取人」の場合、保険が満期を迎えたときに、その満期金は贈与とみなされ、「契約者=満期金受取人」の形態よりも多い税金がかかります。

また、今回はそれ以上に契約者である父親の身体状況が気になりました。契約者及び、死亡保険受取人であるお父様の状況が芳しくないと、生存しているものの(例えば認知症などで)意思決定ができない、ということが起きる可能性があり、不自由が発生することは想像できました。

今のうちに名義変更を希望されるのであれば、お手続きを行うことを提言したのです。

保険契約は、契約者・被保険者・(満期金・死亡保険金)受取人の形態によって、発生する税金の種類が異なり、状況によっては契約時と異なる形態に変更したほうが好ましいことがあります。

必ずしも「きれいな結末」を迎えるわけではない

このような理由から良かれと思い、FPとしていわば当然といえる助言をしたのですが、必ずしも「きれいな結末」を迎えるわけではない事を、このとき初めて痛感しました。

よそ様の家庭の出来事、個人の自由なので、こんなことをつぶやいても仕方がないのですが、妹さんが解約して受け取った数百万円、有意義な使途に生かされた事を、祈るばかりでした。

(佐々木愛子のつぶやき、おわり)

【これまでの相談事例はこちらから】

文・佐々木 愛子(ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員二種、相続診断士)/DAILY ANDS

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