腐った投資信託は「銀行を腐らせる」

いったん新商品が販売されるとなると、その導入コストを回収するために現場には檄が飛ばされる。とにかく売らねばならない。もはや導入の顛末などは関係ない。

だからこそ、保険会社や運用会社は銀行に販売攻勢を仕掛けてくるのだ。そして、現場の銀行員はその商品が良いものであると信じ込まされて、必死で販売する。そのようにして、腐った投資信託はその寿命を延命する事になる。

もはや、どの銀行も金融商品の販売手数料を大きな収益源としてアテにせざるを得なくなっている。にもかかわらず、銀行経営者の金融商品に対する考え方は10年、いや20年遅れている。

表向きは金融商品販売の重要性を語りながら、その本質をまるで理解していない経営者が多い。自ら販売経験がないので分からないのだろう。彼らの金融リテラシーは、お客様のそれよりもはるかに劣っている。「なぜ投資信託の販売が低迷しているんだ!」そう叱責するほど、彼ら自身の無能さが露見する。

なんの戦略もなく、ただ「販売を伸ばせ」とやみくもに檄を飛ばす経営者の姿は玉砕を叫ぶ旧日本軍の姿そのものだ。精神論で金融商品を販売する恐ろしさを彼らは分かっていない。どこかで「負の連鎖」を断ち切らなければならない、そう考える銀行員は私だけではないはずだ。

文・或る銀行員/ZUU online

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