2. 場合によっては老人ホームの方が費用を抑えられることも

ただ、この比較には「注意点」がある。月々の費用で見ると在宅介護の方が安いことがわかるが、被介護者は段階的に要介護度が重くなっていくもの。たとえ介護状態に合わせて一度自宅をリフォームしたとしても、更なる要介護認定に合わせて更にリフォームが必要になることもある。その費用負担はとても大きなものだ。このほかにも離れて暮らしていた家族が近くに越してくる、また仕事を辞めなければいけない、という事態も多いというのが現実。経済的な負担も、お金以外の負担も、とても大きなものだ。

一方で老人ホームは「転院」という制度がある。介護状態が軽くなると、その分転院をして介護費用の負担を和らげることができる。介護施設から一般の病院に転院するというケースも。その分費用負担は軽くなるが、一方で1度リフォームした自宅はそうはいかない。

介護状態は変わらず長年維持される場合もある。すると費用負担としては在宅介護の方が抑えられるということになり、その予測はとても難しい。現在の状態で考えたときの経済的負担を明らかにして、被介護者と介護者にとって(経済的負担以外も踏まえて)どちらがいいのか、子世代も一緒になって考えることが必要といえるだろう。

文・工藤 崇(FP-MYS代表取締役社長CEO、ファイナンシャルプランナー)/ZUU online

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