(本記事は、杉田卓哉氏の著書『外貨積立から不動産投資まで今すぐ資産を増やす「マネー新常識」』サンライズパブリッシング、2018年4月10日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
お金についての常識を疑う
世の中には、お金に関する「常識」が無数にあります。いい大学に入り、いい会社に就職し、倹約してしっかり貯金する。このような生き方が堅実とされてきました。
これら常識に従っていけば一生安泰という時代は、もう終わりつつあります。これらは現役サラリーマンの親世代、つまり高度経済成長時代の恩恵を享受してきた人たちが持ち続けてきた先入観に過ぎないのです。
今よりもっと多くの収入を得て、お金や時間に縛られない生活を送っていきたいと思うのであれば、なおさら考え方を変える必要があります。
私たちの行動を無意識的にコントロールしようとする思い込みから解放され、心のブレーキを外し、失敗を恐れずに進んでいく必要があるのです。
まずは今の時代には合わない常識を捨てることです。そして、理想とする人生設計に向かって行動を起こしてください。
日本円での預貯金はハイリスク・ローリターンの資産運用だ
「安定した大企業に就職するか公務員になり、使わないお金は貯金しなさい」こうした「常識」を刷り込まれ、それに従って銀行の口座残高を増やし続けている人は多いのではないでしょうか。
一見すると非常に堅実な暮らし方に見えます。しかし、現代日本の経済状況には必ずしもそぐわない考え方といえます。
なぜなら日本円での預貯金は価値が目減りしていく可能性が高いからです。日本の銀行口座にお金を預けるということは、日本円を買うのと同じことです。
給料のうち一部をそのまま保有するだけなのに、「買う」という表現には違和感があるかもしれません。しかし、グローバルな視点でみれば、日本という国に投資をしていることになります。
本来、お金というのは価値の交換に用いられるインジケーター(測定機器)に過ぎません。
給料をもらうということは、提供した労働の価値を計測し、目に見える形にされただけなのです。たまたま計測手段が日本円だっただけに他なりません。
他に保有する方法が多数あるにもかかわらず、預貯金を選ぶということは、日本円の価値を担保する日本国を高く評価していることになります。この日本円への評価は正しいのでしょうか。
日本が将来にわたって確実に経済成長を遂げていくのかどうかは誰もわかりません。少なくとも今の価値を保ち続けるのは難しいと私は考えます。その理由は、国が抱える借金とインフレ政策です。
現在、国債や政府短期証券(期間が短い国債のようなもの)などの借金は1000兆円以上、未払金などを含めた負債は1300兆円にのぼります。
これを少しずつ減らしていくにはどうすればいいか。
私が政府なら、1円あたりの価値を減らすでしょう。仮に日本円の価値が下がり、今100円で買えるものが将来200円かかるようになったとしたら、借金は実質的に半分になります。
国債のほとんどは日本の個人や機関投資家(保険会社や年金基金、銀行など運用する資産の規模が大きい会社)に向けて日本円で発行しているため、円の供給を増やして価値を落とせば、国の債務は減らせるのです。
円の価値を下げるということは、物価を上げるということです。つまりインフレーションを起こすことです。
日銀が物価上昇率を設定し、株式の買い入れや金融機関への貸し付けを通じて市場にお金を供給し続けるインフレ政策を行なっている真の理由はここにあるのではないでしょうか。
物価上昇率の目標は本書を執筆している2018年の段階では未だ達成されておらず、いつ達成されるのかもわかりません。ただ、政府と中央銀行が手を組んで徹底することを決めた以上、いつかはインフレに傾くと考えるのが自然でしょう。
20年後、30年後。500兆円分の超長期国債の価値が実質的に半減されたとき、私たちがせっせと貯めた預貯金も半分の価値になっています。
資産の目減りを防ぐためにできることは、いたってシンプルです。日本円以外の方法で保有すればいいのです。
例えば次の方法があります。金や不動産などの現物資産を手に入れる。外貨に投資する(海外銀行の預金や投資信託など)。株式もインフレに強い運用方法ではありますが、私はあまりおすすめしません。
お金に固執する人は、お金に振り回され、結果的に幸せになるチャンスを逃してしまいがちです。経済的な自由を手に入れたい人は、お金ではなくマネーを追求してください。
杉田卓哉(スギタ・タクヤ)
北九州市立大学卒。一般社団法人マネー総合研究所所長。財形や投資など、マネーに関する専門家。大手精密機器メーカー・オリンパスに勤務していたサラリーマン時代に不動産投資を行い、5000万円の家賃収入を得てリタイアしたことから、不動産投資を核とした財産形成を得意としている。最近は上場企業や金融機関などからマネー・リテラシー教育に関する社内研修や講演などの依頼も多数寄せられている。
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