本人に内緒で可能な部分を把握する方法

実は、固定資産は、行政機関で家族が閲覧することができる。銀行通帳などの預貯金も目を盗んで覗くことができる。ただ、この方法はあまりお勧めできない。なぜならば、万が一見つかったときに「自分に隠れて死んだときの準備をしていた」と、このうえない不快感を招くことだろう。それまで了承していた相続の準備が頓挫する可能性も否定できない。

エンディングノートを「一緒に作成する」

親の所有財産を知るために最も勧める方法、それは親に正攻法で財産額を尋ねることだ。ただ、それでは親の不快感を招くうえ、目的を達することのできない恐れがある。そこで活用したいのが、エンディングノートの活用だ。

相続は親子間の事業承継にとって必要なもの。相続対策をおろそかにすると様々なデメリットがあり、延滞税などで必要以上の税金を納めなければいけない事態もあり得る。亡くなってから始めるには手続きの時間を短くし、そのためには現状の資産を知って「出来る限りのこと」をしておくことが大切だ。

書面に書き残す動きも、以前は遺言のみだったため敷居の高いイメージが強かったが、最近はエンディングノートがある。エンディングノートには法的拘束力がないため、医療や介護、財産に関する情報は遺言を作成し(情報を共有するためには公正証書遺言が望ましい)、親の想いはエンディングノートに、「一緒に作成する」という気持ちがあるとなおいいだろう。

制度面に不安があれば、前述した税理士やFPに同席してもらうのも賢い方法だ。いずれにいても一つ屋根の下で生活し、血の繋がった家族という関係。家族親族一丸となって、相続という「最期のイベント」の準備を進めるようにしたいものだ。

文・工藤 崇(FP-MYS代表取締役社長CEO、ファイナンシャルプランナー)/ZUU online

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