確定拠出年金の落とし穴とは
2016年6月、年金企業連合会から発表された「2014年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)」によると、加入者が出資をしている投資商品のうち、約6割は定期預金などの元本確保型を選択しているということが明らかになっている。
結局のところ、運用がよくわからない従業員は元本確保型を選んでいることになるが、この「元本確保」には落とし穴がある。元本確保といいつつ、実際は元本割れすることがあるという点である。
保険は、元本確保型とされる商品の一種だが、売却する際には解約控除を差し引かれることがあり、それが利息を上回ると、元本割れを起こしてしまう。定期預金であれば、確かに金利を上回る解約手数料をとられることはないが、実際は毎月運用手数料がかかっている。
それなら「どの商品に投資すればいいのか?」といっても、確定拠出年金は基本的に証券会社などからアドバイザーが派遣されることはない。だからその分、費用が安く抑えられているのである。
これからは「自分の老後は自分で面倒を見る」時代
世間では、確定拠出年金の良い面ばかりが強調されているような気がする。
つまり、
「税金控除がお得」
「会社の都合で年金を減らされることがない」
「増やせるかどうかは自分次第」
といったうたい文句である。
その言葉の裏に隠された本質的な部分がどうなのかというと、早い話が「企業の力では年金の運用ができなくなった」ために放棄をしたということである。企業ですら匙を投げた運用を、我々が個人で利用したところで、どれだけ自分の年金を増やせるのか疑問が残る。
確かに、確定拠出年金には加入するメリットもなくはないが、結局、税制優遇があったところで、運用でうまくいかなければ元も子もない。いっそのこと、確定拠出年金に加入する場合は最低限の掛け金だけにしておき、新たに自分自身でより良い運用先を探して、そこにお金を投じてみるというのも、ひとつの方法だと思うがいかがだろうか。
文・俣野成敏/ZUU online
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