証券口座を開設するデメリット

証券口座は資産を運用するためには持っておきたい口座ですが、いくつかデメリットもあります。ここでは特に注意が必要なものを3つご紹介します。

デメリット1:投資をすれば、資産が減る可能性もある

1つめは、投資である以上、当然ながら資産が減る可能性があることです。銀行口座で資産を預けていれば、いまの金利ではお金が大きく増えることは期待できませんが、少なくとも減る心配はありません。また、例えその銀行が倒産しても、1,000万円とその利子までは保証されます。一方、投資では期待できる利益が高いものほどリスクも高くなるのが一般的です。証券口座で投資をするならば、大きく損をしないためにも投資に対してそれなりに勉強することが大切です。

デメリット2:お金を引き出す自由度は低くなる

2つめは、お金を引き出すタイミングが銀行口座と異なる点です。特にキャピタルゲインを期待して投資をしている場合、お金が必要になったタイミングでちょうど利益が出ているとは限りません。投資している商品の価格が下がっていることもありえます。株や投資信託などは比較的自由に売買することはできますが、損をするのであれば売りたくないと多くの人は思うのではないでしょうか。この点で、銀行口座よりお金の出し入れのタイミングには慎重になる必要があります。

デメリット3:確定申告が必要になる場合がある

3つめは、口座によっては確定申告が必要になることです。一般的に、銀行口座を開設するときに口座の種類を選ぶことはないと思いますが、証券口座では口座開設時にまず「特定口座」にするか「一般口座」にするかを選びます。特定口座を選んだ場合、さらに「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」を選択することになります。

まず、「特定口座」では証券会社が1年間の損益を計算して年間取引報告書を作成してくれます。一方、「一般口座」では自分で1年間の売買で生じた損益を計算して確定申告する必要があります。

また、特定口座の「源泉徴収あり」ではキャピタルゲインで得た利益に対する税金があらかじめ差し引かれます(源泉徴収)。キャピタルゲインだけでなく、配当で得た利益も自動的に計算されるので、この「源泉徴収あり」を選ぶと確定申告の必要はありません。特定口座の「源泉徴収なし」での取引では、投資で得た利益に対してまだ税金を納めていない状態ですので、送付される年間取引報告書を元に確定申告をして、税金を納付する必要があります。

まとめると、「一般口座」と「特定口座(源泉徴収なし)」では自分で確定申告をして税金を納める必要があるということです。初心者や確定申告に慣れていない人であれば、「特定口座(源泉徴収あり)」で証券口座を開設しましょう。

おすすめの証券口座ビッグ4はどこ?

証券口座の特徴とメリット・デメリットを理解したら、実際に証券口座を開設してみましょう。証券会社には、実際に店舗を構え対面で取引をする総合証券と、店舗を持たないオンライン取引専業のネット証券があります。

ネット証券は総合証券のように個人に担当者が付いてアドバイスをもらいながら取引をするということはできませんが、その分取引手数料が非常に安く抑えられています。ここでは代表的なネット証券の口座を4つご紹介します。

ネット証券1:SBI証券

▽SBI証券の特徴

・取引手数料が業界屈指の安さ
・外国株の取扱国数が豊富で世界各国へ少額から投資できる
・豊富な投資情報を提供している
・Tポイントで投資信託を買える。取引に応じてTポイントが貯まる

SBI証券は手数料や投資情報、取り扱い商品数などすべての項目でサービスの質がよく、ネット証券の中でもNo.1の口座開設数と人気の証券会社です。

まず、手数料のプランが2種類選べ、1注文の取引代金に応じて手数料が決まるスタンダードプランでは1注文5万円まで手数料が55円、1日の取引代金の合計額に応じて手数料が決まるアクティブプランであれば50万円まで手数料が0円と、どちらも業界内で最安値です。

また、米国、中国、ロシアをはじめ、韓国、ベトナム、タイなど世界各国の外国株式の取り扱いがあり、取り扱い国数はネット証券で最も多いため、分散投資をより効率的に行うことができます。

投資情報の提供も充実していて、SBI証券のアナリストの市況情報を動画で毎日配信しているうえ、政治・経済イベント、投資戦略レポート、外国株に関するレポートなどが無料で利用できます。日々トレンドが変わる投資の世界ですが、SBI証券では全国でセミナーも開催していて、フォローが充実しているのが特徴です。

国内株式や投資信託などを買うと、Tポイントが貯まるのもメリットです。特に投資信託は新規に購入した時ではなく、保有残高に対してポイントが付くので、毎月少額をコツコツと買い続ける積み立て方式と相性がいいでしょう。貯まったTポイントで投資信託を買うこともできます。

ネット証券2:楽天証券

▽楽天証券の特徴

・国内株式手数料が最低0円からと安い
・楽天ポイントが取引で貯まり、ポイントで取引ができる
・楽天市場でもらえるポイントがプラス1倍になる

楽天証券も総合的にサービスが充実している証券会社ですが、特に楽天ユーザーにはメリットが多いので一考してみるのもよいでしょう。

まず、国内株式の取引手数料は5万円まで55円(超割コース)とSBI証券と同じく最も安くなっています。また、超割コース以外に手数料の1日定額コースもありますが、取引手数料が無料になる1日の取引金額の合計額が、2019年12月22日までは10万円までだったのが、23日以降は50万円までとこちらもSBI証券と同じ水準まで拡大されました。

楽天証券の強みといえば、株や投資信託の売買で楽天スーパーポイントが貯まる「ポイントプログラム」です。特に、投資信託を楽天カードで決済すると、100円の買付に付き1ポイント(最大1ヵ月につき500ポイントまで)が貯まるサービスは魅力的でしょう。また、ポイントを使って投資をすると、楽天市場での買い物で付くポイントがプラスになり、さらにポイントが貯まりやすくなります。

そのほかにも、楽天銀行と楽天証券の口座を連携すると楽天銀行の普通預金金利が上がるなど、楽天証券は証券口座だけでなく楽天のグループメリットを多く得られますので、楽天をよく利用する人であればはじめに考えたい証券口座といえるでしょう。

ネット証券3:マネックス証券

▽マネックス証券の特徴

・株式取引手数料が100円からと手頃
・投資情報が充実している
・海外投資商品が豊富
・100円から投資信託が買える。投資信託への積立も1日100円から可能

マネックス証券は手数料が手頃でサービスも充実し、特にアメリカと中国の投資商品が充実しているので、積極的に海外に投資したい人に向いています。

取引手数料に関しては、取引ごとに手数料がかかるコースと、1日何回取引しても定額のコースがありますが、取引ごとの手数料コースであれば1回100円から、定額コースでは1日2,500円とどちらも手頃な料金となっています。

商品に関する大きな特徴は、海外の商品の豊富さです。特にアメリカ株は3,600銘柄、中国株も2,000銘柄以上の取り扱いがあり、これらの取引手数料も安く抑えられています。現在日本の金利や利回りは非常に低くなっていますので、比較的配当利回りが高い海外の商品に資産を配分したい人には嬉しい充実ぶりです。

投資信託も100円から買えるので、少額から気軽に投資できます。また、1日100円から積み立て方式で投資信託を買うこともできるので、無理なく資産形成を始められます。なお、マネックス証券でも投資信託を保有していれば「マネックスポイント」という独自ポイントが自動的に貯まり、dポイントやAmazonギフト券、ANAのマイルなどに交換できます。

ネット証券4:松井証券

▽松井証券の特徴

・株式取引手数料が1日50万円の取引まで0円
・使い勝手が良く豊富な投資情報ツールが揃っている
・100年を超える歴史と実績がある

松井証券の特徴はなんといっても100年を超える実績があり、「顧客中心主義」を理念に多くの業界初の取り組みを行ってきたことです。他の証券会社が様々な選択肢を用意していることに比べ、松井証券では選べるサービスや商品を絞り、投資にそれほど詳しくない人にも安全なものを提供しようという心遣いを感じることができます。

取引手数料は1日定額コースのみで、50万円までなら0円で取引できるので、少額から株式投資を始めたい人にはぴったりといえます。

また、投資信託の購入手数料はすべて0円となっています。いまでこそSBI証券や楽天証券、マネックス証券なども投資信託の購入手数料は0円ですが、松井証券はその先駆けといえるでしょう。投資信託の商品数は1,200本弱と他の証券会社に比べて多いほうではないですが、これも「仕組みが複雑な商品を取り扱わない」というポリシーがあるからです。実際、それほど投資商品を調べる時間がない会社員の人などであれば、商品数が豊富であるよりあらかじめ安全なものに絞ったラインアップのほうが利用しやすいのではないでしょうか。

証券口座との正しい付き合い方

証券口座が資産の運用を目的とした口座で、生活に関連したお金の管理を得意とする銀行口座とはその役割が違うことを中心に紹介しました。証券口座をお持ちでないという人も、資産運用を考えるのであれば、お金の管理は銀行口座、投資・運用は証券口座というように、それぞれの長所を活用したいものです。ただし、証券口座はお金を預けておけば自動的に増えるというものでもありません。資産運用に関して知識を深め、上手に利用しましょう。

提供・ANA Financial Journal

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