緊張とストレスが「眠れない」に拍車をかける

深部体温の乱れに加え、もうひとつ睡眠に影響を与えている大きな原因があります。

それが自律神経の働きです。

自律神経は、私たちが生きていくうえで欠かせないものであり、全身に巡らされ、各臓器の働きや血圧、呼吸、代謝など、心身のすべての活動を24時間休むことなく調節しています。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類の神経から成り立っています。

そしてこのふたつは、まったく異なる働きをしています。

交感神経は、日中、仕事などの活動をしているときや、緊張やストレスを感じるときに活発に働きます。

交感神経が働くと呼吸は早くなり、心拍数や血圧が上がります。

副交感神経には、体や脳を回復させる力があり、休息やリラックスをしているとき、特に眠っているときに活発に働いています。

夕方から夜になるにつれ、休息の態勢に入り、リラックスして副交感神経が優位に働くようになると、人は自然と眠りやすい状態になります。

しかし、今の社会では多くの人が、日中だけではなく、遅い時間まで仕事などに追われ、ストレスを感じながら、交感神経優位な緊張モードのまま夜を迎えています。

眠りにつく直前まで交感神経が働いていて、寝る時間がきたからと急いでふとんに入っても、これではすぐに眠りにつけるはずがありません。

眠りの過程は、飛行機の着陸のようなものです。

頑張って高い場所を飛んでいれば飛んでいる(交感神経が働いている)ほど、高度を急降下させることは難しく、着陸する(副交感神経が働いて眠りにつく)までに長い時間がかかるのです。

今のライフスタイルでは就寝時間までに、時間をかけて副交感神経を働かせることは困難といえます。

しかし、夜を迎えるにあたり、ストレスや緊張から解放され、交感神経の働きを少しずつ鎮め、副交感神経を優位にすることは、とても重要なのです。
 

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

白濱龍太郎(しらはま・りゅうたろう)
睡眠、呼吸器内科、在宅医療の専門クリニック「RESM 新横浜」院長。筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大附属病院を経て2013年に「RESM 新横浜」を開設。「ジョブチューン アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」(TBS テレビ)、「林修の今でしょ! 講座」(テレビ朝日)など、数多くのメディアに出演。「睡眠」の分野で今、もっとも注目を集める医師の一人。『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』(アスコム)など、著作も多数。

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