トラブルを回避するためにしておくべきこと

Aさんが遭遇したトラブルの原因は、他の兄弟に相談することなく、勝手に母親の成年後見人になったことである。これは極端なケースかもしれないが、意外と自分の母親の財産がどうなっているのか、誰が管理しているのか知らないものである。また気になっても、なかなか他の兄弟に切り出すことができないだろう。

ただ今の「成年後見制度」は、一度成年後見人になると、定期的な収支報告は義務付けられていてもその内容までのチェックは行われていないのが現状である。厳密な手続きを経て選任された後見人であるから、財産管理についてはある程度任せておこうとする「性善説」に立っているのである。

しかし少なくとも、将来的に相続人になり得る人には、成年後見について相談しておけば、遺産分割にまで影響が及ぶことはなかったのでないかと思う。

紹介したAさんのトラブルは、親の財産について「言い出しにくい」、「聞きにくい」といった雰囲気が作り出したもののような気がする。

しかし、現在「終活」が盛んなように、今後ますます高齢者の財産管理が、重要になってくるに違いない。「相続」が「争族」とならないように、兄弟間、家族間の話し合い、意思の疎通は大事にしてもらいたい。

文・井上通夫(行政書士)/ZUU online

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