医療保険の必要性は?
では、医療保険は必要と言えるだろうか。「高額療養費制度」で、ひと月の自己負担限度額は9万円前後だ(標準報酬月額28万~50万円の場合)。入院しても、経済的にはそれほど大きなダメージではない。公的医療保険対象外の費用を考えても、多くは自分で何とかできる程度の支出で納まる。
会社員ならば、「傷病手当金制度」もある。傷病手当金制度とは、休業4日目から、給料の3分の2が最長1年6カ月受け取れる制度だ。
一方、医療保険(入院保障)の給付金は「1入院の支払限度日数」の制限があるので、給付が受けられても限定的となる。「60日型」ならば、どんなに入院が長引いても、1入院で60日分の給付しか受けられない。入院の90%が60日以内という調査結果(厚生労働省「患者調査」平成26年)から見ても、60日型を選択することは合理的だと言える。ただ、長期入院に備えるつもりだったら、それは見当違いな加入の仕方となる。
高額療養費制度を考えれば、入院などに備えた予備資金が100万円くらいあれば、大抵の場合はカバーできる。医療保険加入が必要かどうかといえば「必要だとは言えない」ということになるだろう。
ただし、貯蓄がほとんどなく、短期でも入院費が払えないような場合は、貯蓄が増えるまでは医療保険に加入する必要性があるだろう。また、自営業で入院が即減収につながる場合は、収入補てんの意味で手厚く加入するという考えもある。その際には、所得補償保険や就業不能保険などとも比較して、自分のニーズに合ったものを選ぼう。
保険は基本的には損に終わる金融商品
保険はよほどレアな事が起こらない限り、基本的には損に終わる金融商品だ。レアでも遭遇すれば経済的に非常に困ることは保険で対処し、貯蓄で対応できることは貯蓄で対処することを選びたい。
世帯年収が伸び悩む近年、必要な保険に絞ることで、保険料を削減して少しでも老後準備を増やす。そんな発想の転換が今の時代には求められている。
文・早乙女 美幸(ファイナンシャルプランナー(AFP))/ZUU online
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