老後に必要な生活費や準備の方法を具体的に考えたことはありますか?厚生労働省の「令和元年簡易生命表の概況」によると、女性の平均寿命は87.45歳。平均寿命は年々延びており、老後の期間が今まで以上に長くなっています。

安心して楽しい老後を迎えるためにも、早めの対策が大切です。年金額と生活費の収支や、夢をかなえるためのお金、現役時代に貯めておきたい貯蓄額など、老後の生活をシミュレーションしてみましょう。

出典:厚生労働省の 『令和元年簡易生命表の概況』

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老後の生活費の計算方法は意外に簡単

私がもらえる年金はどれくらい?

厚生労働省年金局の「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(主に会社員の方)受給者の平均年金月額(老齢基礎年金+老齢厚生年金)は147,927円となっています。

しかし、厚生年金の額はお給料によって変わります。自分のお給料に当てはめて計算してみましょう。

<老齢厚生年金の計算(概算)>
厚生年金加入期間の平均年収(厚生年金期間の毎月のお給料の平均+ボーナスの平均)÷12×5.481÷1,000×加入月数(厚生年金であった月数)=年間の老齢厚生年金額

例えば、平均年収400万円、40年間(480ヵ月)の方の場合、次のように計算します。

400万円÷12×5.481÷1,000×480=87万6,959円

これを12ヵ月で割ると、約7万3,000円になります。

老齢基礎年金の満額は、77万9,300円(2018年度)となっており、月々では約6万4,000円です。老齢厚生年金と合わせると、7万3,000円+6万4,000円=13万7,000円となります。ただし、老齢基礎年金は納付していない月があれば、減額されます。

統計で見ると、女性の標準報酬額(年金を計算するときの基礎になる収入金額。年収とほぼ同じ)は約330万円、男性は約500万円となっているので、女性の方が老後の年金額は少ない場合が多いようですね。

老後の一人暮らし、生活費はどれくらいかかる?生活費の内訳は?

総務省「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」によると、60歳以上の単身世帯の消費支出は、月々14万8,358円です。

<支出の内訳>
住居費1万5,372円、食費3万6,604円、光熱費1万2,928円、家事用品費6,195円、被服費4,341円、交通・通信費1万4,370円、教養娯楽費1万7,546円、交際費1万8,232円、その他2万2,770円。

持ち家率は80.4%となっており、「老後は賃貸住まい」という方はプラス3~5万円は見積もっていた方が良いかもしれません。実家に戻るか購入か、将来の住まいが老後の生活を左右するでしょう。

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15万円じゃ足りない?ゆとりある老後は年金プラスいくら?老後生活の実態

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(画像=japolia /stock.adobe.com)

将来もらえる年金額が13万円(賃貸の方は、家賃を6万円とする)と想定して、年金プラスいくらあれば、どんな生活が送れるかイメージしてみましょう。

ケース1:老後も賃貸住まいの場合
老後の一人暮らしで、賃貸住まいの場合は20万円程度(生活費14万円+家賃6万円)が必要生活費です。年金にプラス月々7万円程度が必要となりますが、日々の生活を送るだけで、欲しい物を我慢したり節約したり、ちょっと窮屈に感じるかもしれません。

ケース2:現役時代の生活を維持したい
前述の総務省「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」による統計では、35歳~59歳の勤労世代の単身世帯の生活費は16万6,964円(住居費を除く)となっています。

現役時代の生活レベルを落としたくない場合は、居住費を1万3,000円と仮定すると、年金+月々5万円(賃貸の方は、これに家賃をプラスして年金+月々11万円程度)を目安に考えておくと良いでしょう。

月々3万円程度が自由に使えるお小遣いと考えると、日々の生活に少しゆとりを感じることもできそうです。

ケース3:老後は悠々自適の生活をしたい
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(平成28年度)」によると、ゆとりのある資金の使用使途は、「旅行やレジャー」が60.6%と1位になっており、次いで「身内とのつきあい」、「趣味や教養」、「日常生活費の充実」となっています。

ケース2の生活に加えて、年間30万円程度の余裕があると良いですね。年金+月々8万円(賃貸の方は、8万円+6万円=14万円)と考えてみましょう。

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アラフォーが老後までに目指したい貯蓄金額

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(画像=shumytskaya /stock.adobe.com)

現役時代には必要ないけれど、老後に考えておきたいのは介護費です。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」によると、平均的な介護期間は54.5ヵ月(約4年7ヵ月)。必要な資金は、一時金として69万円、毎月だと7万8,000円です。

持ち家がある方は、修繕費などの不動産維持のための費用も考えておきましょう。ゆとりある生活費を送るための不足分は、女性の平均寿命から考えるとこのようになります。
冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

<賃貸住まいの場合>
(87歳-65歳)×11万円(ケース2を想定した毎月の生活費の不足分)×12ヵ月+500万円(介護費)=3,404万円
<持ち家の場合>
(87歳-65歳)×5万円(ケース2を想定した毎月の生活費の不足分)×12ヵ月+500万円(介護費)=1,820万円(+修繕費500万円程度)

賃貸の場合は3,400万円、持ち家の場合は2,320万円、退職金と合わせて貯蓄目標にしてみましょう。住宅を購入される場合は、定年退職する65歳までに住宅ローンの支払いを終えるよう、計画を立てておくことも大切です。

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健康・生きがい・お金、この3つが老後を楽しく生活するための「財産」です。今を楽しみつつ、必ず訪れる老後に向けて、できることから早めの対策を始めてみましょう。

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老後の一人暮らしの生活費について Q&A

Q

A
老後にもらえる厚生年金保険の平均額はどれくらい?
厚生労働省年金局の「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(主に会社員の方)受給者の平均年金月額(老齢基礎年金+老齢厚生年金)は147,927円となっています。しかし、厚生年金の額はお給料によって変わります。自分のお給料に当てはめて計算してみましょう。

Q

A
一人暮らしの老後の生活費はどれくらい?
総務省「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」によると、60歳以上の単身世帯の消費支出は、月々14万8,358円です。支出の内訳は、住居費1万5,372円、食費3万6,604円、光熱費1万2,928円、家事用品費6,195円、被服費4,341円、交通・通信費1万4,370円、教養娯楽費1万7,546円、交際費1万8,232円、その他2万2,770円という結果が出ています。

Q

A
老後までにどれくらい貯金しておくと良い?
老後に考えておきたいのは介護費です。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」によると、平均的な介護期間は54.5ヵ月(約4年7ヵ月)。必要な資金は、一時金として69万円、毎月だと7万8,000円です。持ち家がある方は、修繕費などの不動産維持のための費用も考えておきましょう。ゆとりある生活費を送るための不足分は、女性の平均寿命から考えるとこのようになるといわれています。

冨士野喜子
ファイナンシャルプランナー。お金に関する相談実績1000件以上。 大学卒業後、教育出版会社、外資系生命保険会社を経て独立。 個別相談だけでなくセミナーや講演、ラジオ、コラムにて「楽しく、分かりやすく」情報発信中。
ファイナンシャルプランナー。お金に関する相談実績1000件以上。 大学卒業後、教育出版会社、外資系生命保険会社を経て独立。 個別相談だけでなくセミナーや講演、ラジオ、コラムにて「楽しく、分かりやすく」情報発信中。

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