「月2000万はキャバクラで使っているよ」
私は元夫から「仕事だ」「接待だ」と言われると、納得していたんです。でもすでにその頃には、お金も浪費するし、女性関係もズブズブで大変なことになっていたんです。
私は29歳くらいでそれを知ることになりました。1つ知ると芋づる式に事実が明らかになってきます。
知人からは「やっと気がついたの?」と呆れられる始末でした。「あの遊び方はひどい、月2000万円はキャバクラで使っている」と。どうやら、お店の中にいる知らない人の会計まで全部払ってしまうのだそうです。
それから、「海に沈んだ海賊船を引き上げるために出資してほしい」といった突拍子もない依頼にも、どんどん出資していたみたいなんです(笑)。
思ったより大きく道を踏み外していた
若い頃の元夫は、お金の問題で苦しんだ経験があり、そこから再起して新聞配達をしながら学費を払ったりしていました。ですから、私は夫が大きく道を外すことはないだろうと思っていました。
それが、意外と大きく外していたんですね。色々な形で説得しましたが、私が言えば言うほど彼の方も頑なになり、これはどうしようもない、無理だと諦めました。
キャリアの第一歩は「ホームパーティー」
それまで私は、一度も就職したことがありませんでした。私は大学にも行っていませんし、どうやって働いていいかわかりません。
そこでちょっとトリッキーなことを考えました。定期的にホームパーティーを開き、色々な人を呼んで、ご飯を振る舞ったんです。
友達が友達を呼び、いろいろな人たちが私の周りでネットワークを作ってくれるようになりました。そのうちに知人から「非営利団体の運営メンバーとして、お手伝いをしてほしい」と誘いがありました。
これは社会勉強のチャンスだと思いました。ここにいるみなさんは、Eメールの書き出しは「お世話になっております」が当たり前だと思っていらっしゃるでしょう。私はそれすら知らず「こんにちは」で始めていました。社会人のあいさつが「お疲れ様です」という慣習も知りませんでした。
非営利団体で1年仕事をするなかで、ビジネスの基本を教えてもらいました。その非営利団体を通じて、出版社をやっている方と知り合い、その会社で週2回ほど働けることになりました。30代になって初めて就職が決まりました。
元夫が都知事選に出馬。別居から離婚へ
2014年2月に東京都知事選があり、元夫が立候補することになりました。急に政治家の顔になって、朝久しぶりに家にやってきたと思ったら雄弁に私に演説をするわけですよ(笑)。
別居生活を長くしてきましたが、何かまあ晴れ晴れした顔をしているし、いい機会だから離婚することにしました。
子どもたちは「別居と離婚は違う」と考えていたようで、最初は嫌がりました。そのとき彼が「じゃあゲーム買ってあげる」と言うと、子どもたちはすかさず「じゃあ 、2本!」。ゲームを2本買うことで、離婚できることになりました。
私はその後、声をかけていただいたところで働いたり、本を出すようになったりというようなことが重なって現在に至っています。
お気づきかもしれませんが私はお金のことが全くわかりません。税金の仕組みも分かりませんでしたし「手取り」の意味も知りませんでした。
少しずつそうしたことを学んでいる状態です 。今日もわからないことがたくさんあると思うのですが、よろしくお願いします。
※紫原さん談、ここまで
次回は公開インタビューの内容をお届けします
各年代での家賃を併記した年表をスクリーンに映しながら、紫原さんは当時のエピソードを生き生きと語っていました。そのダイナミックな人生には、一度著書を読んでいたとしても、やはり驚きと新鮮さがあるのではないでしょうか。
お金持ちも、そこからの転落も経験した紫原さんは果たして「お金」や「人生の豊かさ」についてどのようにお考えなのでしょうか?次回、公開インタビューにて深堀します。(公開インタビュー『家族無計画』著者・紫原明子さん「中」に続く)
講演者プロフィール
紫原 明子(しはら・あきこ)さん
エッセイスト。1982年福岡県生まれ。高校卒業後、音楽学校在学中に起業家の家入一真氏と結婚。のちに離婚し、現在は2児を育てるシングルマザー。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)などがある。
文・阿部祐子/DAILY ANDS
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