「家族と過ごしたいから起業する」

(写真=筆者撮影)

これが、私の「人生と金」をまとめたスライドです。例えば「17歳恋愛/同棲(7)」のように、最後のかっこで書いた数字は家賃です。

私は19歳で出産のために実家に戻っていたのですが、そのとき夫は会社を辞めてしまいます。「自宅で起業する。必要なお金だけ稼いでみんなで仲良く暮らそう」と言うのです。

起業というと私はリスクしか思い浮かびませんでしたが、幸い、地方は家賃が安いので、福岡県の地方のほうで、月6万円くらいで3LDKの駐車場付きの物件が借りられました。家族3人で引っ越しをして事務所兼自宅にしました  

元夫が始めたビジネスは「レンタルサーバー」です。インターネットにウェブサイトを作るときは家を建てるのと同じで、「土地」のようなものが必要になるのです。この「土地」を、当時の業界最安値で一般の人向けに提供するサービスを始め、人気になりました。

人材確保も必要になり、わたしが20歳のとき福岡市内に引っ越しました。少し羽振りが良くなって、家賃25万円の物件に住みました。

20代前半で、夫が月収200万円、資産数億円に

当時は給与として入って来るのは、月20万円くらいでした。ところが、起業から1年後、わが家は突然、月収200万円になったのです。会社のお金と家のお金は分けた方が良い、ということで私は元夫から渡されたお金でやりくりをするようになりました。

 さらに私が21歳のとき、上場企業の子会社になることになり、我が家に数億円のお金が入ってきました。嘘のような話ですが本当にこんな事が2、3年のうちに起きたのです。

元夫の会社が上場。26歳で資産10億円に

同じ年に家族3人で東京に引っ越し、家賃は50万円の家を借りました。22歳のときには2人目の子供を出産しました。

引っ越しが好きだったので、私たちはどんどん引っ越しをしました。家賃は60万円、65万円と色々な所に住みましたね。

私が26歳のとき、会社が上場したんですね。これによって我が家に億単位のお金が入ってきました。

そして転落が始まった

私は専業主婦として家にいたということもあり「なんだかいっぱいあるなあ」という感覚でした。

お金を使う場所といっても、洋服を買う、旅行に行くくらいで、お金を無限に使える世界があるということを全く知りませんでした。お金を使うにしても限界があると信じていたんです。

それに、何億円ものお金があれば、なくなることはないと思っていました。そんな感覚ですから家賃120万円の家に住んだりもしていました。

ただ、その頃からです 。「家族と一緒にいたいから起業する」と言っていたはずの夫が、深夜まで帰ってこなくなりました。

お酒が飲めなかった夫が東京に来たら急激にお酒を飲むようになり、泥酔して帰ってくることもありました。子どもが幼稚園に行くとき、入れ違いに帰ってくる状態です。

まさしく「遊びが大好きなIT系社長」のようになってしまったのです。

家入氏との出会い、結婚生活、子育て、離婚の経緯などをつづったエッセイ『家族無計画』(写真=筆者撮影)