(本記事は、長尾義弘氏の著書『老後資金は貯めるな!』、河出書房新社、2018年12月5日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『老後資金は貯めるな!』シリーズ】
(1)「年金制度は崩壊する」はウソ?簡単には崩壊しないワケ
(2)「一生もらえる」年金のスゴイしくみをきちんと理解しよう
(3)なぜ年金の「繰り下げ受給」は「全額もらえない」のか
※以下、書籍より抜粋
年金にかかる税金と控除
年金にも税金がかかります。
「雑所得」として、所得税・住民税の課税対象となります。
通常、雑所得は20万円から申告が必要ですが、公的年金はあつかいが異なります。
公的年金には、公的年金等控除が適用されるのです。
65歳未満と65歳以上では、税金の計算が、つぎのように違っています。
- 65歳未満の人は108万円以上(基礎控除を含む)
65歳以上の人は158万円以上(基礎控除を含む) この条件に該当した場合、課税対象になります。
実際に受け取る公的年金の金額は、この所得税を引いた金額です。
所得税の対象となっている人には、日本年金機構から「扶養親族等申告書」が送られてきます。
これは必ず記入をして提出してください。
扶養親族がいないからといって提出しないと、公的年金の受け取り金額が減ってしまいます。
扶養親族等申告書を提出すれば、日本年金機構で源泉徴収などの面倒な手続きをおこなってもらえます。
配偶者や扶養親族がいる場合は控除を受けられ、年金の受給額が多くなります。
年末調整も受けられるため、確定申告をする必要もありません。
もしも提出しなかったときは、自分で確定申告をおこなってください。
払いすぎた税金を取りもどすことができます。
なお、確定申告で取りもどせるお金は、年金以外にもあります。
たとえば、医療費控除。
1年間の医療費で10万円を超えた分が控除の対象となり、所得税・住民税が安くなります。
年間に10万円の医療費がかかることはなかなかないかと思いますが、医療費控除は生計を同じにしている家族全員を合算できます。
そうなると10万円を超えるケースもあるでしょう。
また、10万円を超えない場合でも、所得の5%を超えれば医療費控除を受けることができます。
その他、セルフメディケーション税制で、控除を受けられる場合もあります。
医療費の領収書は必ずとっておき、確定申告をしましょう。