ローンのボーナス返済で返済不能に

マイホームのローン返済方法で「ボーナス返済」を利用している人もいるだろう。ローンでボーナス返済を利用している人にとっては、ボーナス支給額が減額されれば、ローン返済に支障が出る場合すらある。毎月の返済額を減少させるために、「不確定」なボーナス返済部分を高く設計してしまった場合は、そもそものプランが検討不十分だったとも考えられる。

「返済にまさる運用無し」が当てはまらない残念な事例

住宅ローンは借入金利を支払っているので、「住宅ローンの繰り上げ返済」をした方が運用をするよりもずっと有利だ、といった主旨の記事やアドバイスを実際に目にすることがある。
しかし、これは2つの前提に立っていると思う。

1)将来の結婚プラン、子供の人数や家族構成、教育費、習い事などの費用の総額・支払いタイミングを十分理解している
2)それらのライフプランの検討の結果、繰り上げ返済をするだけの十分な余裕がある

住宅ローン返済=「大きな借金を軽くする」効果、教育ローンは「子供のための借金」だから仕方がないので借りる、カードローンやリボ払いは「不足分だけ時々補うため」であるし、「毎月の返済は1万円だから大きな問題ではないだろう」という「メンタル・アカウンティング」が形成されてしまっている人々は残念だ。きちんと金融を使いこなすチカラがあれば、現在よりも家計を改善できた場合が考えられるからだ。

低い金利の住宅ローンを返済しても、子供のための高い教育ローンは親の務め?

住宅ローンを繰り上げ返済した人が、その後に行った残念な勘違い事例について紹介したい。
なお、金利水準は2018年3月時点の、あるメガバンクおよび系列クレジットカード会社の金利水準である。住宅ローン金利10年固定、金利水準1.10%と比較して欲しい。

  • 子供の教育資金に、「教育ローン3.475%」を借りている
  • 生活費の不足を補うために。「カードローン12.00%」を使っている
  • クレジットカードの支払いが苦しいので、「リボ払い15.00%」を使っている。
  • リフォームを行うために「リフォームローン4.975%」を借入する 住宅ローンの金利と、その他のローン等の金利は水準が大きく異なる。金利3倍の教育ローンを借りることが想定されるならば、住宅ローンの繰り上げ返済を行わない方が良い。

    ましてや、繰り上げ返済を行って、その後金利水準が13倍超のリボ払いを使わなくてはならないケースは、賢いやりくりとは正反対であることを認識して欲しい。

    文・安東隆司(CFPRファイナンシャル・プランナー)/ZUU online

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