「ヨガ」について、どのようなイメージを持っていますか?「美しくなる」「痩せる」「きれいになる」といった、漠然としたイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。確かに、ヨガをすると自分の体や心に対して、これまで以上に気を配るようになるため、自然ときれいになったり痩せたりする人も少なくありません。しかし、ヨガの効能はそれだけではありません。

現在、科学的な観点からヨガにアプローチして、その効能を解き明かす研究が世界規模で進んでいます。代表的なものをいくつかピックアップしてみましょう。

(1)ヨガでセロトニンの分泌が促され、心身の安定感が向上

「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニン。これは脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分をコントロールしたり、精神を安定させたりする働きがある物質です。慣れない業務が多い新社会人の方には精神が疲れている方も多いのでは?

体内でセロトニンが不足すると、ストレス障害やうつなどの症状が引き起こされると言われています。反対にセロトニンが活性化していると、感情が安定したり、常に平常心を保てるようになったり、気持ちの起伏が減ったり、集中力が高まったりなど、さまざまなメリットがあります。

セロトニンを高めるには「日光にあたる」「ビタミンB6を積極的にとる」「スキンシップをする」などいくつかの方法がありますが、なかでも有効なのが「腹式呼吸」と「軽い運動」です。つまり、ゆったりとしたペースで腹式呼吸を続けながら、適度な強度で体を動かすヨガは、まさにセロトニンの分泌を高めるのに最適な方法なのです。実際、多くの脳科学者もセロトニンを高めるものとしてヨガを推奨しています。

(2)メラトニン分泌も改善。睡眠の質がアップ

人間が生き生きと働き、健康的な生活を送るには、質のよい睡眠が欠かせません。働き始めた方は、その忙しさから、眠りが浅くなることもあるかもしれません。その睡眠に深く関わっているホルモンがメラトニンです。この物質は睡眠を誘う働きを持っていて、人間が夜になると眠くなるのは体内でメラトニンの分泌が増えるためです。逆に、朝起きたときが最もメラトニン分泌が少ない時間と言われています。こうして、体内でメラトニンが増えたり減ったりすることで、人間は睡眠の量や質を調整しているのです。

このメラトニンの材料となるものは、実は、(1)で説明したセロトニン。つまり、メラトニンがたくさん分泌されるためには、メラトニンの材料であるセロトニンが日中にしっかりと分泌されておく必要があります。「昼間はセロトニン」「夜間はメラトニン」という2つのホルモン分泌の流れをよくすることが、質の良い睡眠を招きます。

さらに最近の研究により、瞑想はメラトニンの分泌量を高めることが判明しています。すなわち、瞑想をする前に比べて瞑想をした後は、体内のメラトニンの量が高まるというのです。

普段、「ヨガはしているけれど瞑想はあまりしていない」という人もいるかもしれません。しかしそもそも、ヨガと瞑想はひとセット。特にヨガの練習の最後に瞑想をすると、ヨガの疲れがいやされ、呼吸も通常のペースに戻り脳がクールダウンされます。

数分間でも効果が期待できるので、ぜひヨガの後には瞑想を取り入れてみましょう。