あるサッカーライターは「ギャンブルとつながることによる経済効果はかなり大きい」と指摘する。

「チームにしてみれば単純に広告収益も増えますし、スタジアム以外でも楽しむ機会が増える。スポーツベッティングがプロスポーツを支えていると言っても過言ではない。ちなみに、Jリーグなど日本のプロスポーツも海外のスポーツベッティングの対象となっているのですが、ソフトバンクや楽天グループが参画する『スポーツエコシステム推進協議会』の試算によると、年間で5兆円から6兆円ほどが日本のスポーツに賭けられているといいます。そういったお金を日本国内に流入できたら、日本のスポーツもより豊かになるのでは、という見方はあります」

 ただし、海外ではすでに脱スポーツベッティングの動きも出てきている。スペインのサッカーリーグ・ラリーガでは2021-22シーズンから、スポーツベッティング企業がユニフォームの胸スポンサーにつくことを禁止。イングランドのプレミアリーグでも、2026-27シーズンからユニフォームの胸部にベッティング企業の広告掲載を禁止することを発表している。

 経済的な恩恵と引き換えに、スポーツファンのギャンブル依存を助長しているのも事実で、そういった倫理的問題解消のため、海外では健全化の方向に進み始めているのだ。スポーツベッティングやオンラインカジノの解禁待望論について、山岸弁護士はこう見解を述べる。

「確かにIR導入が推進されている今日、待望論もあるでしょう。聞いたところによると、国内で80億円程度が違法なオンラインカジノで動いているとのことですので、しっかり管理すれば租税して財源にもなると思います。ただ、まだ日本国内ではギャンブルに対する意識も高まっていないし、教育も行き届いていません。いわば酒の飲み方をわからない大学生に度数の高いアルコールを際限なく飲ませるようなものです。これからの議論が大切です」