それでは、生命保険を活用した場合の節税額がいくらになるか、一時払い終身保険を使った場合で確認してみましょう。前提条件は次のとおりです。
● 被保険者および長男、次男、長女の4人家族(法定相続人は長男、次男、長女の3人
● Aは生命保険を節税対策として使わない場合、Bは生命保険を使った場合とする
● 一時払い終身保険の保険料は1500万円、死亡保険金を1500万円とする
下表1も参照してください。
表1 相続税総額の計算と節税額
筆者作成
まず相続財産は、Aの場合で9000万円あり、基礎控除の4800万円を引いて、課税遺産総額は4200万円になります。
これに対しBは、一時払い終身保険料として1500万円を使うので、相続財産は7500万円になります。みなし相続財産(死亡保険金)が1500万円になりますが、生命保険の非課税枠を使えるので、500万円×3人=1500万円が非課税になります。
その結果、みなし相続財産はゼロになり、基礎控除を引いた課税遺産総額は2700万円となり、BはAと比べて課税遺産総額が1500万円少なくなります。
ここで、長男、次男、長女の3人を合わせて、1500万円相当の相続税を節税できたことになります。
では、実際の相続税はいくらになるでしょうか?
A.生命保険を使わない場合:
法定相続人1人当たりの課税遺産総額:1400万円
1人当たり相続税額:1400万円×15%―50万円=160万円
相続税総額:160万円×3人=480万円
B.生命保険を使った場合:
法定相続人1人当たり課税遺産総額:900万円
1人当たり相続税額:900万円×10%=90万円
相続税総額:90万円×3人=270万円(Aの場合の56%)
生命保険を使うと、210万円(Aの場合の44%)の節税となります。