私は、この事件についてよく知らなかったので、「聞いてみる」といって電話を切った。

 その数日後、朝日新聞Digital(3月12日 5時00分)がこう報じたのである。

《和歌山県広川町の海で2020年、男性2人に入水するようにそそのかしたとして、大阪府警は11日、自称占師の浜田淑恵容疑者(62)=大阪府河内長野市=ら2人を自殺教唆容疑で逮捕し、発表した。府警は、浜田容疑者が「悩み相談」を通じて知り合った2人を信じ込ませ、支配下に置いたとみている。
捜査1課によると、男性2人は50代と60代の知人同士で、20年8月1日、広川町の海岸で、マイクコードでお互いの手首同士を縛った状態で遺体で見つかった。
逮捕容疑は、2人に「命を捨てて関係者から悪いものを取り除く」という趣旨の文言を伝え、20年8月1日に広川町の海に入水させ、自殺をそそのかしたというもの。府警は2人の認否を明らかにしていない。
府警によると、司法解剖の結果、2人の死因は溺死(できし)で、当初の捜査を担った和歌山県警は事件性はないと判断していた。
昨年5月、浜田容疑者の占いを受けた後に恐喝されたという大阪市の男性が府警に被害を相談した際、浜田容疑者が2人の死に関与した疑いがあると府警に説明。府警が捜査を始めた。
府警は今年1月28日、浜田容疑者と、浜田容疑者の信奉者の女(59)=東京都中野区=ら3人を大阪市の男性に対する恐喝容疑で逮捕。浜田容疑者は自身を「創造主」と主張し、「全財産を捧げろ」などと計約8千万円を脅し取った恐喝罪で今月11日、起訴された。》

 オウム真理教事件を持ち出すまでもなく、宗教にのめり込んで全財産を差し出し、教祖に命までも捧げるという事例は、枚挙に暇がない。

 だが、いい年をした男二人の手をマイクのコードで結んで、入水自殺するように「教唆」などできるものだろうか。

 文春は5ページも割いて特集しているが、読んでもよくわからないというのが正直な感想である。