激務から命を守るためにすべきこと
──では、激務から自分の命を守るために、日頃からどんなことに気をつければいいのでしょうか?
粥川:まず、自分が「何のために」働くのか、改めて考えてみましょう。いつの間にか周りに同調してしまい、「会社のため、世のため、人のため」という奉仕の精神になっていませんか。寝食を忘れるほどに、仕事に没頭し過ぎていませんか。
仕事にばかり比重を置くのではなく、「ワーク」「ライフ」「ファミリー」「レジャー」をバランスよく保つように、日頃から心がけるようにしましょう。
家族や友人と共に過ごす時間や余暇をとれるように、誰のためでもない「自分の幸せのために働く」ことを意識することが大切です。
──疲れやストレスを溜め込まないために実践したい「生活習慣」があれば教えてください。
粥川:まずは、何といっても「睡眠」を十分に取り、体と脳をしっかりと休ませましょう。眠る前の「寝酒」は、眠りが浅くなってしまい、上質な睡眠を妨げてしまいますので、厳禁です。できるだけ規則正しい生活を送るように心がけることも大切です。
今、朝ごはんを食べない人も多いようですが、朝ごはんをとらないと、前日の夕食から当日の昼まで、10時間以上もの間、何も食べていないこととなり、体にとっても脳にとっても、栄養不足となってしまいます。
仕事中は90分に1回は小休憩を取り、お昼休みの際には15分ほどの昼寝が効果的です。午後も3時になったらティーブレイクをとるなど、小刻みな休憩を取りましょう。小刻みに休憩を取り入れることで、溜まりきる前に疲れをリセットできます。
休憩によって集中力を維持し、効率よく仕事ができるようになります。スムーズに仕事を終わらせたら、週1~2回、趣味や習い事などでアフター5を楽しみましょう。
楽しいはずのことが楽しくない、アフター5や週末の余暇が楽しめなくなったら、疲れやストレスが溜まっている証拠だと考えていいでしょう。
激務に対して体が発するSOS
──激務に対して体が発するSOSとは?また、それらにいち早く気づく方法はありますか。
粥川:一番の指標は「不眠」です。心身ともに疲れを感じているのに眠れない、いくら寝ても寝た気がしない、寝ているはずなのに疲れがとれない、そんなときは注意が必要です。
また、食欲が落ち込んでしまい食べられない、朝起きたばかりなのにすでにだるい、きちんと寝ているはずなのに、昼間起きていられないほどの眠気を感じる、頭痛や肩こりといった症状が見られることもあります。
精神的な部分では、これまで好きだったことに興味関心がなくなる、趣味を楽しむことができない、楽しい気持ちになれない、楽しさを感じられないといったことも挙げられますね。
これらのことにいち早く気づくためには、体やメンタルからのサインを「気のせい」とか「疲れているから」と気づかないふりをせずに、早めに対処することが大切だと思います。
例えば、インターネットなどで簡単にできるストレスチェックを行ってみるのもいいでしょう。いずれにせよ仕事を理由に、見過ごしたり、先送りにしたりしてしまわないことが大切です。
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