Netflixシリーズ『阿修羅のごとく』
妻(夏川結衣)がいながら、夫を亡くした長女・綱子と不倫関係を続ける料亭の主人・貞治を演じるのが内野聖陽。次女・巻子の夫で、秘書(瀧内公美)との浮気を疑われる鷹男を本木雅弘。潔癖で恋愛ベタな三女・滝子と、四姉妹の父の不倫調査をきっかけに出会い、関係を深める興信所の調査員・勝又を松田龍平。そして、四女・咲子と同棲する芽の出ないボクサーを藤原季節が演じています。

香り立つ男らしさと、男の本音を映し出すダメ~な感じを、四者四様それぞれに表現していて目が離せません。特に第3話は、4人全員が“やらかし”ます。その姿の滑稽さたるや! それぞれが見せた男の生き様にやられました。個人的には、昭和のザ・サラリーマンなのに“二枚目”の色気がつい漏れてしまう、もっくんに一票!

Netflixシリーズ『阿修羅のごとく』

◆今っぽいレトロ感で、昭和の風景を見事に再現

昭和レトロな世界観がイマっぽい映像美にも魅せられました。衣裳やヘアメイク、小物、セットの映し出されるすべて。至る所に昭和の時代背景が反映されており、制作スタッフたちの本気度を感じます。缶コーヒーのプルタブがちゃんと完全に離れる仕様になっていたり、雑誌『暮しの手帖』も当時の号が置かれていたり。

見ればすぐに“昭和”と分かるけど、決して古臭くない。当時の色使いやデザインのレトロさを活かしながら、すべての画角に昭和らしさを感じさせる見せ方が徹底されているのです。

Netflixシリーズ『阿修羅のごとく』
俳優の演技の面でも、その再現度は光ります。ダイヤル式の黒電話(黒じゃないものもありますが)の扱いが、全員とっても自然。受話器を肩と耳に挟んだり、右耳から左耳にスムーズに持ち替えたり、口元に手を当てたり。

そして「ふたりで包(くる)まるひとつの分厚い毛布」。綱子と貞治、滝子と勝又がそれぞれに関係性を表現するアイテムとして使われていたのも印象的です。昭和の生活をリアルに再現しているからこそ、それらをチェックしたり思い出したりするのも面白いポイントでした。