「特別支給の老齢厚生年金」は繰下ができない
ちなみに、厚生年金や基礎年金は、繰下受給や繰上受給が可能です。\
本連載でも取り上げましたが、年金の繰下受給は「お得」という話をご存知の読者も多いことと思います。
では「特別支給の老齢厚生年金」はどうでしょうか。繰下受給をすると得になるのでしょうか? 答えは「ノー」です。
「特別支給の老齢厚生年金」は繰下受給はもちろん、繰上受給もできません。
「ねんきん定期便」の見方を間違えて損をする人が続出?
ところで、冒頭の『金持ち定年、貧乏定年』の読者との交流で気づいたのは「ねんきん定期便」の見方を間違っている人が意外と多いことです。
「ねんきん定期便」には、たとえば65歳前は比例報酬部分190万円、65歳は比例報酬部分190万円、定額部分70万円、合計260万円などと表記されています。「ということは、65歳まで待てば増えるのだな!」と解釈して、受け取らない人も少なくないようです。
しかし、この解釈は大変な誤解です。なぜなら「特別支給の老齢厚生年金」と65歳以降の老齢厚生年金は別物だからです。
そもそも年金の時効は5年なのをご存知でしょうか? さかのぼって請求できるのも5年分です。それを過ぎると、権利は消滅してしまいます。つまり、「特別支給の老齢厚生年金」も受け取らないと消えてしまうのです。そのことを知らずに損をしている国民が相次いでいるとすれば……本当に恐ろしい話ですね。せめて時効をなくすことはできないのでしょうか。
「特別支給の老齢厚生年金」は必ず請求をしてください。あなたの大切なお金は、あなた自身で守るしかないのです。
継続雇用の人は、ここに注意を!
知らず知らずに損をしているといえば、「在職老齢年金」制度もそうです。「在職老齢年金」制度は60歳で定年を迎え、その後も継続雇用され、厚生年金保険に加入している人が「給与などと年金月額の合計が28万円を超えている」場合、年金が減額されてしまうものです。
「働いていると、年金が減らされるの?」
「それなら後でまとめてもらえばいい」
「そうすれば、満額もらえる!」
上記のように解釈する人もいるようですが、残念ながらこれも大変な間違いです。しっかりと減額されたうえでの支給となります。
ただ、たとえ給料が高くて「年金が全額停止」になったとしても、年金請求書は提出しておきましょう。もし給料が下がった場合は、受け取れるようになりますから。ちなみに、厚生年金保険に加入していない場合は、年金の減額はありません。
年金は「自分で手続きをしないと受け取ることができない」制度です。繰り返しますが、手続きを忘れないように、必ず年金請求書をだしてください。
今回は「特別支給の老齢厚生年金」を中心に解説しましたが、世の中には私たちにとって知らないと損をする情報がたくさんあります。これからも、そんな情報を読者のみなさんにお届けしたいと思います。
文・長尾 義弘(NEO企画代表、ファイナンシャル・プランナー、AFP)/ZUU online
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