やはり「言葉の壁」が大きいように感じられ、海外でウケたケースは言葉のいらないリズムネタや身体を張ったネタが中心となっている。そうなると「一発ネタ」的な扱いになりやすく、人気を継続するのは難しいようにも思える。日本と海外の笑いの質が異なるのも難しい部分があり、それについて田辺氏はこのように指摘する。

「2024年にキンタロー。さんにインタビューしたとき、もともと海外志向はあるものの『海外進出は難しい』という気持ちの方が現状は上回っているとおっしゃっていました。というのもキンタロー。さんは以前、テレビ番組の企画でカナダでネタを披露する機会があったのですが、『今までで一番スベった』そうだからです。

 海外のお笑いはスタンダップコメディで政治問題をイジったりするのが主流。そういう笑いの取り方とキンタロー。さんのスタイルはマッチしない。だからこそ海外挑戦は難しさがあり、またかつてスベった経験もあって、『なかなか踏み出せません』とおっしゃっていました。あとキンタロー。さんは、自分のようなモノマネ芸人は海外にはあまりいない気がすると話していました。日本と海外の笑いにはやはり、スタイルに大きな違いがあるのだと思います。

 ダウンタウンの松本人志さんは。バラエティ番組『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)の企画『電波少年的 松本人志のアメリカ人を笑わしに行こう』で1999年から2000年にかけて米国進出に挑戦しましたが、やはり苦戦しました。その原因は、日本特有の『間の笑い』がなかなか通じないこと。逆に、シンプルなパッと見の笑いがウケるともおっしゃっていました。そういったことから松本さんは『100パーセントで65点の笑いをとりにいかなければならない』とコメントしていました。つまり、練り込んだ笑いではなく、もう少しカジュアルな笑いが海外ではウケるということです」

 日本の芸人たちおよび、誠子の海外進出について、田辺氏はこう続ける。