「食」を軸にして、市井の人々の日常を描き続けていることも多いエッセイストの大平一枝さん。新たなテーマとして選んだのは、都会の「定食屋」。
どの街も小ぎれいなチェーン店が看板を連ねるなか佇む大衆食堂は、古めかしかったり、逆に即席感あふれるつくりだったりと異彩を放つ存在で、なんとなく気にはなるものの通り過ぎてしまう……という人も多いのではないでしょうか。
大平さんも、もれなくそのひとりだったのだそう。
◆うまくて安い「定食屋」には、みな物語がある

しかし、取材を続けるうちにわかったのは、そんなものはなにひとつなく、ひたすら手間ひまをかけること「だけ」だったという。

当然、迷いや葛藤もつきまといながら。今回の本では、それぞれの店のおいしさの奥にある背景というか、お店の覚悟を含めた魅力を掘り起こせたかな、とは思っています」
その本こそが、8月に発売された著書『そこに定食屋があるかぎり』。各店のグルメポイントもしっかりとおさえつつ、読後は少しほろっともさせられます。
◆大平流「うまい定食屋の見分け方」
