達也さんに教師になりたくないと伝えても、母親の「茜はまだまだ反抗期で」という言葉で丸め込まれ、達也さんにまで教師を目指すことを応援されるようになります。
望まない教員採用試験対策の勉強のストレスもあり、大学3年生のころ、茜さんは大学に行けなくなって数カ月間休学することになりました。
◆包丁を振り回す母親と、お姉さんのリストカット
その前後に、母親はあちこちでトラブルを起こすようになります。茜さんの母方の祖母や伯母(母の姉)と些細なことで喧嘩をしては、相手の家に怒鳴り込むといった調子です。
パート勤めを始めるにしても、勤務先で喧嘩をしてはすぐに辞めてを繰り返します。家では、パート先で知り合った人と勤務先の愚痴を言い合う長電話をしていることもありました。
すでに一人暮らしをしていた社会人のお姉さんにも母親はたびたび電話をかけ、「寂しいでしょう。帰って来なさい」と数時間も話すことが続いていたそうです。
あるときにはお姉さんのマンションに押しかけ、包丁を振り回しもしました。

実は茜さんの父親も、過去にメンタルを病んでいます。そのこともあって、父親は家族との関わりを最小限にしていたのです。
「このまま家にいたらおかしくなる」と、茜さんは思います。しかし憔悴(しょうすい)したお姉さんを目の当たりにすると、家を出ることがいかに難しいかということも思い知らされるのです。
大学についても、卒業要件は満たせたものの、教員免許に必要な単位は足りませんでした。そのため、進路が決まっていない状態で卒業してしまいました。
◆卒業後も母親の支配下で、さらに過酷な生活が始まった